1986 Fiscal Year Annual Research Report
Apoptosis(自爆死)としての胸腺細胞放射線間期死の発現機構に関する研究
Project/Area Number |
61580184
|
Research Institution | National Institute of Radiological Sciences |
Principal Investigator |
大山 ハルミ 放射線医総研, その他, 研究員 (70160645)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 武 放射線医学総合研究所, 生物研究部, 主任研究官 (30166714)
|
Keywords | 放射線間期死 / 胸腺細胞 / Apoptosis(自爆死) / プログラム死 / タンパク質変化 |
Research Abstract |
胸腺細胞は放射線照射により分裂を介すことなく細胞間期死をおこす。われわれは、この細胞死がRNA生成、タンパク質生成依存性に一定の経過を経て生ずることを見出した。こうした死の過程は生理的細胞死とも共通し、障害細胞などの除去機構として細胞に予めプログラムされている死-Apoptosis(自爆死)の一種であることを示唆している。本研究は、このようなApoptosisとしての間期死機構解明のため、先づ、本年度は自爆死プログラム(遺伝子)の発現過程と考えられるタンパク質の生成、および死の緒変化に伴うタンパク質分解の検索、および線量郊果の検討を行なった。 実験にはラット胸線細胞主分画細胞(小リンパ球)を用い、X線照射、37゜C温置後、パーコール密度勾配遠心で生死細胞を分離し、各細胞のタンパク質をO´Farrellの二次元電気泳動により分離、銀染色後比較した。その結果、生細胞は照射の有無にかかわらず差がほとんどないのに対し、死細胞では、26、27kDaのタンパク質の特異的出現、29kDaのタンパク質の消失他かなりの数のタンパク質の消長を認めた。さらに、【^(35)S】メチオニンとりこみ後同様の分析を行ない生成タンパク質を検索した。 また、間期死発現に対する線量効果を検討、1kR前後のX線照射により生ずる細胞死は、シクロヘキミドにより抑制されタンパク生成依存性であるのに対し、10KR以上の高線量で抑制されないことを見出した。さらに、1KR照射による死細胞は細胞サイズ縮小、DNA分解などApoptosisの特徴を示すのに対し、10KR照射後にはむしろ1KRよりDNA分解は減少、細胞サイズ膨大化などnecrosisの像を呈することもわかった。これらの知見は、10KRではApoptosis機構が障害されておこらずnecrosisによる細胞死がおこることを示しており、通常の線量での胸腺細胞死がApoptosisであることを裏付けている。
|