1986 Fiscal Year Annual Research Report
中性子の共鳴パラメータ及び自己遮蔽効果に関する実験的研究
Project/Area Number |
61580196
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小林 捷平 京大, 原子炉実験, 助手 (80027466)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤田 薫顕 京都大学, 原子炉実験所, 教授 (60027422)
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Keywords | トリウム / 共鳴パラメータ / 自己遮蔽因子 / 共鳴積分 / 中性子透過率 / セルフィンディケーション / エリアアナリシス / 非分離共鳴 |
Research Abstract |
トリウム炉設計用の核データとして、【^(232)Th】の中性子断面積、特に共鳴エネルギー領域でのデータは重要とされる。しかし、今迄に得られたデータ、評価値にも20%前後に及ぶ大きな差異が存在しているので、本研究では、これらのデータを実験的に評価することとした。まず実験は京大炉の電子線型加速器を用いた飛行時間分析法により、トリウム金属板試料に対する中性子透過率測定及びセルフィンディケーション実験を行った。まず(1)中性子透過率測定のデータを基に、Shape Analysis法を適用することにより、【^(232)Th】の共鳴放射幅Гγ,Гnを求めた。本実験では低エネルギーの4主共共鳴に加え、17のS波共鳴に対しても測定を行った。その結果、Olsen,Chrienらが得た最近の共鳴パラメータ値は我々のデータと一致を見たが、Rahnのデータ及び日本の評価データJENDL-2値は、特に低エネルギー共鳴に対して低目であることが分った。次に(2)1/E標準中性子場において【^(232)Th】(n,γ)反応による共鳴積分を測定し、86.2±3.6バーンの値を得た。(3)先に得られた共鳴パラメータについて、これを積分的に評価するために、個々の共鳴パラメータを使った計算による共鳴積分値と、標準場で測定した共鳴積分について比較を行った。(4)その結果、JENDL-2の共鳴パラメータを使った共鳴積分は実測値より約7.3%低くなり(1)に挙げた結論と同じ結果を得た。(5)最後に、非分離共鳴領域による実験と解析結果からは【^(232)Th】の自己遮蔽因子に関する実験的評価を行った。トリウム試料からでる高いガンマ線バックグランドに対し、中性子飛行路を約6mと短かくし、信号雑音比を上げて実験することができた。その結果、1〜40kevのエネルギー範囲では、既存の評価データ(JENDL-2,ENDF/B-IV)は誤差内でほぼ実験値を再現できることが分った。
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[Publications] K.Kobayashi;Yoshiaki Fujita: NEANDC(J)-122/U;Progress Report JAERI. 62-64 (1986)
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[Publications] I.Kimura;Y.Fujita;K.Kobayashi;et al: NEANDC(J)-122/U;Progress Report JAERI. 61-61 (1986)
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[Publications] Y.Fujita;K.Kobayashi;et al.: JAERI M. (1987)
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[Publications] 小林捷平,藤田薫顕: 日本原子力学会 昭和61年年会(E-41)要旨集. 343-343 (1986)
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[Publications] 小林捷平,藤田薫顕: 日本原子力学会 昭和61年分科会(D-1)要旨集. 189-189 (1986)