1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61580199
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
斉藤 功 筑大, 地球科学系, 助教授 (90006586)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 博 筑波大学, 地球科学系, 教授 (70062817)
|
Keywords | 山菜採取 / タラノメの促成栽培 / 穂木 / 一節栽培法 / 伝播(拡散) / 風土論 |
Research Abstract |
本研究は落葉広葉樹林帯(ブナ帯)で広範にみられる山菜の採取、とくに山菜の促成栽培を風土論的立場から考察したものである。 本年度は、山菜促成栽培の現象を正確に把握することに重点を置き、山形盆地におけるタラノメの促成栽培の実態を調査した。山形盆地において促成栽培される山菜は、タラノメ,コゴミ,ゼンマイ,ワラビ等であるが、タラノメ栽培が主力である。タラノメ栽培者は山麓部に多く分布し、当初その原料となる穂木を山どりしていたが、規模拡大につれタラノキを普通畑で栽培するようになった。 その栽培方法は、秋の降霜により落葉したタラノメを伐採し、出荷時期に合わせ穂木を10cm内外に一節ごとに切断し、ジベレリン処理後、ビニールハウス内に密植挿立し、電熱加温またはビニール二重保温によって発芽させるものである。タラノメが5〜8cmに成長時点で収穫される。促成栽培されたタラノメは12〜3月に出荷される。それは天然では4〜5月に採取されるタラノメより価格がよいからである。価格がクリスマス・忘年会、新年会シーズンおよび転勤シーズンの3月がよいという。 タラノメの促成栽培法は、比較的簡単であるので、その栽培法が確立した山形,山梨両県から秋田,長野県などブナ帯に拡散した。秋田県では好価格の時期には飛行機を使って出荷されるようになった。 今後、実態を解明するとともにブナ帯における山菜の促成栽培の伝播(拡散)、多雪地と雰雪地の地域差、農山村経済に及ぼした影響など風土論を加味した考察を加えたい。
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] 斎藤功: 地域調査報告. 9. 51-62 (1987)
-
[Publications] 斎藤功著,上野福男編: "日本の山村と地理学「温海カブの焼畑栽培と生産地域の拡大」" 農林統計協会, 344 (1986)