1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61580226
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
石渡 信一 早稲田大, 理工学部, 助教授 (10130866)
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Keywords | 筋原線維 / 筋収縮 / 自発的振動収縮 / ATP / 位相差顕微鏡 |
Research Abstract |
本年度は、我々の見出した筋原線維の自発的振動収縮(Spontaneous OscillatoryContraction,SPOCとよぶ)を様々な条件下で詳細に記録すること、その上でメカニズムの理解を目指した。以下その結果を個条書にする。 1.ビデオ装置を導入することによって、記録を迅速かつ大量に行えるようにした。さらに、パソコンに接続し、独自に開発したソフトをもとに、SPOCの振動波形等を詳細に解析できるようにした。(位相差顕微鏡に設置) 2.SPOCの生じる化学的条件(標準条件は、室温で0.12MKCl,4mMMg【Cl_2】,0.2mMATP,4mMADP,4mMPi,10mMMOPS(pH7.0)である。)について種々検討した結果、ATP,ADP,Piが共存することは必須だが、EGTAによる【Ca^(2+)】のキレートは必須ではなく、ATP濃度を高めれば微量【Ca^(2+)】の存在下でもSPOCが生じることが分った。但し、その際の振動数は、標準SPOCと比べて増大した。また、ATP濃度を上げるとADP濃度も上げる必要があること、即ち、ATPとADPとは拮抗することが分った。 3.SPOC発生の力学的条件として、弾性要素であるコネクチンの寄与が期待されたが、微量トリプシンによりコネクチンを選択的に分解しても、SPOCにはほとんど変化が見られなかった。SPOCには弾性要素が必要だと思われるが、それはクロスブリッジ等の収縮要素そのものかもしれない。 4.以上は骨格筋(速筋)の結果であるが、骨格筋(遅筋)及び心筋についても同様の実験を行った。顕著な相異点は、遅筋の場合には振動数が数分の一になること、心筋の場合にはSPOCの生じるADP,ATP濃度域が異なることであった。原因は、ミオシン等収縮要素の相異に帰せられよう。 5.SPOCを力学モデルにより理解する試みも行っており、近い将来には、SPOCを性質の分ったいくつかの要素をもとにシミュレートできると思われる段階にきた。(以上)
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Ishiwata,S.;Manuck,B.A.;Seidel,J.C.;Gergely,J.: Biophys.J.49. 821-828 (1986)
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[Publications] Higuchi,H.;Funatsu,T.;Ishijima,A.;Okamura,U.;Ishiwata,S.: J.Muscle Res.Cell Motility. 7. 491-500 (1986)
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[Publications] Masai,J.;Ishiwata,S.;Fujime,S.: Biophys.Chem.25. 253-269 (1986)
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[Publications] Ishiwata,S.;Kinosita,Jr.K.;Yoshimura,H.;Ikegami,A.: Rotational Motions of Myosin Heads in Myotibril Studied by Phosphorescence Anisotropy Decay Measurerinents.J.Biol.Chem.(1987)
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[Publications] Ishiwata,S.;Kinosita,Jr.,K.;Yoshimura,H.;Ikegami,A.: "Molecular Mechanism of Muscle Contraction" Plenum Pub.Co., (1987)