1987 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61580226
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
石渡 信一 早稲田大学, 理工学部, 教授 (10130866)
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Keywords | 筋収縮 / 筋原線維 / 振動収縮 / 位相差顕微鏡 |
Research Abstract |
今年度は, 我々が数年前に発見しSPOCと呼ぶことにした, 筋原線維(骨格筋)の自発的振動収縮現象を定量的に解析する方法を確立した上で, SPOCを生じさせる条件を様々に検討すること, そしてSPOCの本質面を理解することを第1の目標とした. 未だ十分な解明はなされていないが, 研究成果を個条書にする. 1.テレビカメラーパソコン接続によりSPOCの振動波形等の解析, その表示法等, そのためのソフトを改良した. その結果, 波形, その相関関数等を迅速に求めることが出来るようになった. 2.アクト・ミオシンからなる収縮要素と, 並列弾性要素が粘性溶媒に浸っているという力学モデルによって, SPOCの一部の性質を理解することができた. 筋原線維の両端部での弾性要素の役割が無視しえないものである. 3.筋原線維のSPOC条件下でのATPaseを測定した. 筋原線維の懸濁液を用いた場合には, 収縮条件下と比べて幾分低い活性を示した. しかし, 懸濁液の場合には, 筋原線維の両端は固定されていないため, SPOC状態でのATPaseを測定したことにはなっていない. 光学顕微鏡下でSPOCをしている際の活性は, 測定が困難であるが, 予備的な実験によれば, 両端未固定の場合と比べて高いようである. この点は今後検討すべき重要な点である. 4.筋原線維調製時のトロポニンの遊離(あるとしてもわずか)とSPOCが関連している可能性が懸念されたが, 精製トロポニンの添加によってSPOCに何も変化はなかった. ただしトロポニンに混在していた微量のミオキナーゼの作用がみられた. 5.心筋についてもSPOCを解析した. 拍動数の低い牛の場合には, SPOCの周波数も非常に低かった.
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[Publications] Ishiwata,S.: J.Muscle Res.Cell Motility. 8. 275 (1987)
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[Publications] Okamura,N.: J.Muscle Res. Cell motility. 9. IN PRESS (1988)
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[Publications] 石渡 信一: パリティ. 2. 77-78 (1987)