1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61580228
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
牧野 誠夫 筑大, 基礎医学系, 講師 (90101310)
|
Keywords | ヘモシアニン / 協同性 / 酸素結合 / 四次構造 |
Research Abstract |
中間的な酸素飽和状態でのHcの構造変化を検出する方法として、すでに色素結合,紫外差吸収,円二色性などの方法については結論をだすことができた。とくに、色素(ニュートラル・レッド)の結合はイセエビHcの構造変化を敏感に反映することがわかった。この色素結合法で検出されるHcの構造変化は平均の酸素飽和度よりもかなり先行して起こり、たぶん四次構造変化に対応するものと考えられる。また、その過程は先に提唱した三状態アロステリック・モデルで説明することができた(Eur.J Biochem.印刷中)。この色素結合法はヘモシアニンに限らず、アロステリック蛋白質の構造変化を検出するのに用いることができるかもしれない。 一方、Hcの酸素結合に伴って、280〜290nmの芳香族残基の光吸収が変化する。この変化はサブユニット会合に依存するが、酸素結合には比例することがわかった。また、近紫外の円二色性の変化も酸素結合にリンクしているが、四次構造変化は反映しないようである(J.Biochem.発表済)。 これまでにヘモグロビンやHcで得られた結果を総合すると、蛋白質の構造変化は一斉に起こるのではなく、蛋白質表面やそれに近い部分の変化が先行するようである。このことは酸素結合蛋白質の協同性を考える上で興味深い。 一般に節足動物のヘモシアニン(Hc)は電気的あるいは免疫的に異なる複数種のサブユニットから成ることが知られている。62年度以降はサブユニットを分離し、再構成する条件を検討して、それぞれ構造的・機能的にどのような違いがあるかを調べたい。また、均一なサブユニットから成る会合体を調製し、中間的な酸素結合状態での構造変化をも調べたい。
|
Research Products
(1 results)