1986 Fiscal Year Annual Research Report
塩基配列に依存した溶液中のDNA構造と制限酵素による識別
Project/Area Number |
61580230
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
西村 善文 東大, 薬学部, 助手 (70107390)
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Keywords | DNA / 構造 / 制限酵素 / ラマン分光 / 塩基配列 |
Research Abstract |
1塩基配列に依存した溶液中のDNA構造 塩基配列が一定のDNAの水溶液中の構造を、レーザーラマン分光で調べ次の事が判った。 (a)poly(dG-dC)・poly(dG-dC)は低イオン強度中でB形の亜種Ba形をとり、高イオン強度中で左巻きのZ形に構造変化をする。しかも低イオン強度中の構造Ba形は糖・リン酸の骨格構造がCpG部とGpC部で異なっている。合成DNAのテトラマー4種類(CGCG,GCGC,GGCC,CCGG)の内、ポリマーと同様の構造変化を示したのはCGCGのみである。GCGCは高イオン強度中でも左巻きのZ形をとらない。 (b)poly(dG)・poly(dC)は低イオン強度中でB形の亜種Bh形をとり、高イオン強度中で右巻きのA形に構造変化をする。上記4種類の合成DNAテトラマーの内、、高イオン強度で、CCGGのみが若干A形構造をとる。 (c)poly(dA)・poly(dT)は、イオン強度を変化しても構造変化を示さず常にB形の亜種B'形をとる。 2制限酵素の消化部位 合成DNAテトラマーおよびポリマーの構造を比べる事により、poly(dG-dC)・poly(dG-dC)は、二塩基配列の基本としては(G-C)nと書くよりも(C-G)nと書いた方が良い事が分る。すなわちC-Gの基本的な構造が単位となっていてG-C部はその接合点であると考えられた。現在までに知られているテトラマーおよびヘキサマーを認識する制限酵素の内、poly(dG-dC)・poly(dG-dC)を切断するものは全て( 種類)G-C部を切断し、C-G部を切断しない。これはC-Gが構造の基本単位でありG-Cがその接合部という考え方からすると、接合部のコンホメーションが制限酵素で切断され易くなっているといえる。同様に他の配列でも消化部位と構造の間に相関がある事が分った。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 西村善文: Nucleic Acids Research. 14. 2737-2748 (1986)
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[Publications] 鳥越智香子: Spectrochimica Acta. 42A. 1101-1106 (1986)
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[Publications] 西村善文: J.Molecular Structure. 146. 123-153 (1986)
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[Publications] 片平正人: Biochimica et Biophysica Acta. 867. 256-267 (1986)