1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61840015
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
小川 禎一郎 九大, 国立大学(その他), 教授 (50028156)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河済 博文 九州大学, 総合理工学研究所, 助手 (10150517)
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Keywords | 電子エネルギーロススペクトル / 電子衝撃発光スペクトル / コインシデンス / 電子ビーム / 反応素過程 |
Research Abstract |
第一年度である本年度では、装置の設計・製作と予備実験を行った。 1.衝突室の試作 試料として希ガスから有キ化合物まで幅広く取り扱えるよう排気系の配置に工夫した高真空衝突室(直径45cm 高さ40cm)を設計し、特注した。本補助金により購入したターボ分子ポンプ(島津製作所 TMP-550)により排気し、到達真空度5×【10^(-7)】Torrを得た。衝突室中央に回転台を設け、散乱角度依存性測定が可能なようにした。ヘルムホルツコイルにより衝突領域での地磁気の影響を10mG以下(自作の磁力計にて測定)にした。 2.電子のエネルギー分析 電子線源として、タングステン熱陰極、静電界型ズームレンズ、偏向電極をもった電子銃を自作した。電子エネルギー分析器は、静電界偏向方式の同心半球型のものを自作した。電子の検出は現有の微少電流計により行った。電子の補集効率、ズームレンズの収差、各電極への印加電圧等の調整を行いながら、電子のエネルギー分析の予備実験を行った。レンズの収束性能や分析器の分解能は、ほぼ設計通りの良好な結果が得られた。 3.ヘリウムの電子エネルギーロススペクトルの測定 ヘリウムを試料にし、電子エネルギーロススペクトルを測定し、20eV領域に電子励起状態に対応する信号を得た。試料導入による装置全体の動作は非常に良好であり、コインシデンス実験を行うに不可欠な長時間の安定性を確めた。しかし電子エネルギー分解能はまだ不十分であった。 4.発光スペクトルの測定 水素,窒素などの電子衝撃、発光スペクトルを測定し、高感度であることを確認した。
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