1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61840017
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松本 澄 京大, 教養部, 助教授 (20026818)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
芳賀 隆弘 石原産業(株), 中央研究所, 副主管
小林 栄 武田薬品(株), 開発5課, 課長
小泉 光男 光高圧機器(株), 代表取締役
橋本 史朗 京都大学, 教養部, 助手 (30026794)
岡本 忠 京都大学, 化学研究所, 助手 (50027067)
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Keywords | 高圧反応 / Diels-Alder反応 / π一過剰複素環化合物 / シクロファン / ビシクオクタジェン / 求核置換反応 / エステルのアミノ化 / アミド |
Research Abstract |
1.高圧下での芳香族化合物のDiels-Alder反応-芳香族化合物の付加環化反応は、その芳香族安定性や生成物の不安定性のため一般に困難である。この制約を超高圧によってどの程度のりこえることができるかを調査するのが本研究の目的のひとつである。まず フランなどのπ-過剰ヘテロ環化合物と主としてマレイン酸無水物誘導体との反応を高圧下で検討した。9kbar程度では、残念ながら満足すべき収率は達成されなかったものの、カンタリジン類似体の合成には、超高圧が有用であることが判明した。次に、興味ある芳香族化合物として近年とみに注目されているシクロファンのDiels-Alder反応を高圧下で行った。常圧下では全く不活性なマレイミド類でも9kbar,約70℃で1:2付加体を与える。X線結晶解析の結果、反応はクロスブリッジ様におこっており極めて高歪み化合物であることが分った。尚、金属がとりこまれた型の化合物も目下合成を試みている。 2.高圧下での求核置換反応-求核置換反応が合成上重要であることは論をまたない。アミンによるエステルの直接アミド化は、有用な手法であるが一般に困難である。この反応をアセトントリル中約8kbarの高圧化で行うと種々のアミンとエステルの組合せにおいて多くの場合定量的に反応が進行しアミドの合成法として有力であることが分った。また、シアノ基が分子中に存在しても支障がないことも判明した。同様に、アミンによるラクトン類の求核的開環も高圧下で首尾よく進行し、好収率でヒドロキシアミドを与えることを明らかにした。求核置換反応と関連して、menschutkin反応を用いたイリド、例えばピリジニウムビスメトキシカルボニルメチリド類の合成にも高圧は有用であり、これらのイリドの窒素-核磁気共鳴スペクトルに関する研究に大いに役立ったと言える。尚、芳香族求核置換反応の合成的応用に関しても鋭意開発中である。
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[Publications] Kiyoshi Matsumoto: Journal of Organic Chemistry. 51. 3729-3730 (1986)
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[Publications] Kiyoshi Matsumoto: Heterocycles. 24. 1835-1839 (1986)
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[Publications] Kiyoshi Matsumoto: Chemistry Letters. (1987)
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[Publications] Kiyoshi Matsumoto: Angewandte Chemie International Edition in Englsh. 25. 565-566 (1986)
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[Publications] Kiyoshi Matsumoto: Chemistry Letters. (1987)
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[Publications] Kiyoshi Matsumoto: Chemistry Express. 1. 423-426 (1986)