1988 Fiscal Year Annual Research Report
蛍光染色を利用した細胞または細胞部分の高選択性破壊研究手法の開発
Project/Area Number |
61840023
|
Research Institution | Hokkaido UNiversity |
Principal Investigator |
久田 光彦 北海道大学, 理学部, 教授 (70000768)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長尾 隆司 北海道大学, 実験生物センター, 助手 (70113595)
高畑 雅一 北海道大学, 理学部, 助手 (10111147)
鈴木 教世 北海道大学, 理学部, 講師 (10001851)
下澤 楯夫 北海道大学, 理学部, 助教授 (10091464)
|
Keywords | ヘリウムカドミウムレーザー / 細胞破壊 / 神経細胞 / 神経分枝 / ザリガニ神経系 / 神経回路 |
Research Abstract |
組織内の特定の細胞のみを選択的に破壊する方法の一つに、標的細胞内へ蛍光色素を注入し、その色素の励起光を照射して光化学反応的に破壊する方法がある。本研究は、アメリカザリガニ神経系の解析に、この蛍光染色による選択的破壊法を応用することを目的として行った。 励起光源としては、ヘリウムニカドミウム レーザー光を採用し、細胞破壊装置の試作を行った。試作にあたっては、1)細胞破壊装置と細胞形態観察装置とを一体化し、2)破壊と生理学的記録を同時に行えること、の二点を重視し、これらを満足させる実用装置を完成した。 試用実験は、アメリカザリガニ腹部神経系の神経細胞を対象として行った。このうち、腹部第四神経節に含まれ、自発的スパイク発射をする運動神経の例では、この神経細胞へ蛍光色素ルシファーイエローを注入して、その細胞形態を確認したのちに、軸索部へ直径約30マイクロメートルの光束に絞ったレーザー光を照射し、照射部位のみを効果的に破壊することが出来た。この事は、この運動神経の樹状突起部に刺入してある細胞内電極からは、依然として、この神経の自発的スパイク発射が記録され、なおかつこの神経と鏡像関係にある反対側の相同な運動神経とのシナプス接続は保たれていたにもかかわらず、照射部位よりも遠位にある細胞外記録電極では、この神経の自発生スパイクが全く記録されなかったことで確認できる。 他の神経細胞においても、部分照射による細胞部分のみの破壊や、神経節全体の照射による細胞全体の破壊を行うことが出来た。 現在は、腹部第四神経節で同定した局在性ノンスパイキング介在神経にこの破壊法を適用し、ノンスパイキング介在神経の機能局在の可能性を検討している。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] Kondoh,Y.;Hisada,M.: Cell Tis.Res.247. 17-24 (1987)
-
[Publications] Nagayama,T.;Hisada,M.: J.Comp.Neurol.257. 347-358 (1987)
-
[Publications] Kimura,K.;Shimozawa,T.;Tanimura,T.: J.Neurogenet.4. 21-28 (1987)
-
[Publications] Nagao,T.;Shimozawa,T.: Anim.Behav.35. 122-130 (1987)
-
[Publications] Nagao,T.;Tanimura,T.: Anal.Biochem.171. 33-40 (1988)
-
[Publications] Kanou,M.;Osawa,T.;Shimozawa,T.: J.Comp.Physiol.162. 573-579 (1988)