1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61840025
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
土山 明 京大, 理学部, 助手 (90180017)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鳥居 雅之 京都大学, 理学部, 助手 (60108983)
|
Keywords | 原始太陽系星雲 / 凝縮作用 / 蒸発作用 / 真空蒸発凝縮炉 / 蒸発残査 / 凝縮物 |
Research Abstract |
太陽系創世期における高温星雲ガス中での鉱物の凝縮作用や蒸発作用は、惑星の化学組成やそれに続く惑星の分化に大きな影響を与えたと考えられている。本研究ではこのような鉱物の凝縮・蒸発作用の実験的研究を行うための装置の開発を目的とした。 太陽系星雲ガスは比較的低圧で水素を主成分とすると考えられているために、水素ガスを導入しつつ真空に近い条件を保持できるようにした真空蒸発凝縮炉を試作した。抵抗加熱によって試料の蒸発をおこない、蒸発によって生成されたガスを様々な温度で凝縮させ、その凝縮物を回収できるように炉の設計をおこなった。蒸発部と凝縮部の温度較正等のテスト実験をおこない、この真空蒸発凝縮炉の性能をチェックした。蒸発部は1800℃以上の温度に加熱でき、問題とする物質(珪酸塩,酸化物,等)の蒸発実験に十分な温度が得られることが確認された。また、凝縮部の温度を1800℃の高温から1000℃以下の低温まで大きな範囲で変化させて実験ができることを確認した。しかしながら、初期故障のために、実験パラメーターを色々と変えた本格的な実験をおこなうまでにはまだ至っていない。一方、宇宙組成に近い単純な系(MgO-Si【O_2】系)での予備実験では、蒸発残査を回収することができたので、これについての解析をおこなっている。また、微細な凝縮物(数μm以下)については電子顕微鏡による研究をおこない、急速な凝縮作用においても、熱力学的に安定なMgSi【O_3】相(プロトエンスタタイト)が気相成長することが明かとなった。 今後の研究計画としては、初期故障についての炉の改良をおこない、上述した単純系の他に複雑な系についても蒸発・凝縮実験をおこないたい。
|
Research Products
(1 results)