1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61850097
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高橋 保 京大, 防災研究所, 教授 (40027230)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中川 一 京都大学, 防災研究所, 助手 (80144393)
江頭 進治 京都大学, 防災研究所, 助教授 (00027286)
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Keywords | 土砂災害 / 崩壊 / 土石流 / 危険範囲予測 / 数値シミュレーション |
Research Abstract |
土砂災害の軽減対策として、予め氾濫危険地域を指定して居住を制限したり、避難態勢をとったりするソフト対策が注目されているが、本研究は土砂災害の二大原因となっている斜面崩壊と土石流に関して、危険範囲を指定する手法を確立することを目的としている。 崩壊土氾濫危険範囲の指定法に関しては、浸透流シミュレーションに基づく崩壊予知法を下谷観測流域に適用して、本手法の流出流量予知の面から見た適用性に関する確認を行った後、木津川上流域で、昭和57年の台風10号に伴う降雨で流域内に崩壊および土石流を発生した堂ケ谷に適用して、崩壊可能斜面の抽出および崩壊時刻の予測可能性についての実証的研究を行った。さらに、崩壊規模の決定に関しては、表層土の厚さの分布が重要であるとの観点から、土層厚の変化する場での浸透流による崩壊発生に関する実験的研究を行ない、層厚の小さい部分で崩壊発生することを見出した。 土石流氾濫危険範囲の指定法に関しては 渓床堆積物の流動化および流域内で発生した崩壊土による天然ダム泥壊による土石流の規模予測を前記流域内の流出流量予測手法を結びつけた解析によって行う方法を考案している。さらに、与えられた規模と性質を持つ土石流が任意の複雑な地形条件の場へ流出して堆積する過程および一旦堆積した土石流が後続の洪水流によって侵食され、さらに下流部に堆積する過程と、それぞれの過程における堆積範囲の予測手法を提示した。とくに 土石流の堆積過程と堆積範囲予測に関しては、コロンビアのネバド・テル・ルイス火山の噴火に伴って発生した巨大泥流について数値シミュレーションを行ない、組粒子・細粒子別の堆積範囲と堆積厚さ、および泥流による家屋の全壊範囲の予測が十分の精度で行えることを確認している。
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