1986 Fiscal Year Annual Research Report
天然鉱物からの高ケイ酸質ゼオライトの合成とその水中有機化合物分離技術への応用
Project/Area Number |
61850144
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Research Institution | Hachinohe National College of Technology |
Principal Investigator |
成田 栄一 八戸工高専, その他, 助教授 (20111255)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小川 政英 水澤化学工業株式会社, 業務本部, 研究技術部長
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Keywords | 酸性白土 / クリストバライト岩 / 合成 / 結晶化 / ゼオライト / 高ケイ酸質ゼオライト / ZSM-5 / 吸着 |
Research Abstract |
1.天然鉱物の硫酸処理;当初の予定よりスケールを縮少して、青森県産クリストバライト岩の硫酸処理を行った。アルミニウムや鉄の含有率は低いが、硫酸処理によるこれら金属の除去率は低かった。結晶構造や結晶化度にはほとんど変化は認められなかったが、反応性は幾分向上した。 2.ZSM-5の合成;主に硫酸処理クリストバライト岩を原料とし、反応混合物の組成:〔0.05〜0.20【(TPA)_2】0-O〜0.20【Na_2】O-x【Al_2】【O_3】-Si【O_2】-50【H_2】O〕,温度:130〜170℃,時間:6h〜5dayの条件でZSM-5の合成試験を行い、最適条件〔【(TPA)_2】O/Si【O_2】=0.10,【Na_2】O/Si【O_2】=0.10,170℃,2day〕を得ると共に、ZSM-5の合成に関する速度論的パラメーター〔核発生および結晶成長の見かけの活性化エネルギー:各々51および44KJ/mol〕を得ることができた。また、α-石英の結晶化を抑制する条件も把握した。さらに、未処理クリストバライト岩を原料とした合成試験も数例行い、上記の結果との比較を行った。 3.生成ZSM-5によるフェノール類の吸着;フェノールをはじめとし、p-位に各種置換基のついた6種のフェノール類について水溶液からの吸着試験を行い、これまで得た基礎研究の結果との比較を行った。アルミナフリーのZSM-5類似体であるシリカライトに比べると幾分低いものの、高い吸着能を有していることが明らかとなった。置換基の効果をみると、エチル基>メチル基>ニトロ基>クロロ基の順に吸着され、tert-ブチル基のようにサイズが細孔径の6【A!°】より大きいものはほとんど吸着されなかった。以上の結果、新規の疎水性無機吸着剤となり得ることが示された。 4.今後の展開;試験研究は実用化に結びつけるための研究である。この点から考え、今後は硫酸処理しないクリストバライト岩に対象をしぼり、ZSM-5の合成試験を詳細に行いたい。また、フェノール類以外の有機化合物の吸着および脱着試験も行いたい。
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[Publications] Eiichi NARITA: Chemistry Letters. 1986. 1837-1840 (1986)
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[Publications] 成田榮一: 日本化学会誌. 1986. 879-881 (1986)
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[Publications] Eiichi NARITA: Journal of Crystal Growth. 78. 1-8 (1986)
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[Publications] Eiichi NARITA: Bulletin of the Chemical Society of Japan.