1986 Fiscal Year Annual Research Report
遷移金属触媒による付加環化反応の開発と精密有機合成への応用
Project/Area Number |
61850153
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
内本 喜一朗 京大, 工学部, 教授 (90025958)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高井 和彦 京都大学, 工学部, 助手 (00144329)
大嶌 幸一郎 京都大学, 工学部, 助教授 (00111922)
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Keywords | バラジウム / 遷移金属触媒 / 付加環化 / ピロリジン / アセチリド / 二酸化炭素 / アルカロイド / インドール |
Research Abstract |
申請した計画に沿って研究を進め、次のような成果をあげることができた。パラジウム触媒を用いてプロパルギルアルコールのリチウム塩,二酸化炭素および塩化アリルを反応させて高収率で環状炭酸エステルを合成する反応を見出した。この反応は炭酸ガスの固定反応としても興味がある。また生物物の加水分解によりプロパルギルアルコールの三重結合にアリル基と水酸基とを位置選択的に付加させたかたちのヒドロキシケトンが得られることからも合成的に有用である。一方プロパルギルアルコールのリチウム塩はケトンにリチウムアセチリドを作用させても得られることから、ケトン,リチウムアセチリド,二酸化炭素および塩化アリルから高選択的に環状炭酸エステルが得られることになる。合成的にはリチウムアセチリドをアシル陰イオンとして利用する新反応とみることができる。光学活性アルキニルアミンの分子内付加反応をもとにして光学活性ピベリジンおよびピロリジンアルカロイドを合成する方法の開拓に着手したが、従来用いていたパラジウム触媒では不充分であることが認められ、探索の結果、塩化金酸ナトリウムを触媒として用いると5-ドデシニルアミンから6-ヘプチル-2,3,4,5-テトラヒドロピリジンがほとんど定量的に得られることを見出した。この触媒を用いた研究を継続中である。2-アルキニル-1-アミノベンゼンにパラジウム触媒を作用させるとインドールが生成することを認め、この反応に塩化アリルを共存させておくと3-アリルインドールが生成することを見出した。アリル基は位置選択的に反応するので、3位に置換基をもつインドール誘導体の新規合成法としても有用であると考え、更に検討を続けている。光学活性アセタールの合成のために基礎的検討は終り、目下光学純度の高いアセタールの合成,更に昆虫フェロモンなど有用化合物の合成法の確立のために研究を続けている。
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[Publications] 柳原 直人: Journal of American Chemical Society. 108. 2753-2754 (1986)
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[Publications] 入谷浩史: Journal of Organic Chemistry. 51. 5499-5501 (1986)
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[Publications] 内本喜一朗: 有機合成化学協会誌. 45. (1987)
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[Publications] 入谷浩史: Bulletin of Chemical Society of Japan. (1987)
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[Publications] 福田行俊: Heterocycles. 25. 297-300 (1987)