1986 Fiscal Year Annual Research Report
山間未利用地での機械力による日本型不耕起草地造成工法の創出
Project/Area Number |
61860023
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
小林 裕志 北里大, 獣医畜産学部, 教授 (80050615)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 創三 北里大学, 獣医畜産学部, 講師 (30137898)
佐藤 幸一 北里大学, 獣医畜産学部, 講師 (10110876)
堤 聰 北里大学, 獣医畜産学部, 教授 (40092275)
本橋 圀司 北里大学, 獣医畜産学部, 教授 (30146336)
一戸 貞光 北里大学, 獣医畜産学部, 教授 (90176298)
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Keywords | 環境保全 / 不耕起草地 / 草地造成 / 流域特性 / 水質 / 山地地域 / トラクタ / フロントドラムモア |
Research Abstract |
1987年夏に行う予定の造成試験のために、今年度は試験地の現況把握と工法編成、造成後の維持・管理の鍵となる事項について調査・研究を行った。 天間林村にある試験予定地(9ha)は周辺の一部を残してすでに伐採が終了した。現地の測量、土壌調査および理化学性分析を行い、年代の新しい腐植質火山灰土壌に覆われた急傾斜地である事を明らかにした。さらに、伐採地(5ha)と林地(17ha,ブナ700本/ha)の水文・水質データの収集を開始した。林地と伐採地の流出に関する諸条件はほぼ同じとみなされ、伐採地に形成された凹地貯留は流出特性に影響すると推察され、伐採や降雨によって河川水中のTS,SS,【K^+】等が増加する事を明らかにした。また、現地の地形一植生一土壌条件を考慮して、根株切断用のスタンプカッタと雑灌木破砕用のブッシュカッタを適宜組合せた3つの工法区を設計した。 一方、このような急傾斜不耕起放牧草地の造成後の維持・管理の鍵を握る傾斜地用トラクタの作業性能および家畜重放牧による野草抑制の可能性を検討するために、奥羽種畜牧場内の荒廃急傾斜放牧草地でこれらの調査・研究を行った。現地に繁茂する野草の分布は土壌の物理性のみならず斜面内の水分移動や特定の化学性が関係していると推察された。このような野草の抑制には家畜の重放牧よりも刈取のほうの効果が普遍的であることが明らかにされた。刈取が草地の維持・管理に重要であることは言うまでもないが、このことは傾斜地専用トラクタの使用によってはじめて可能になった。本トラクタの登・降坂時のスリップは登坂角30度で10%に止まり、重心が低いため30度程度まで安心して使用できた。草地では15%以上スリップすると裸地化するため、本トラクタの傾斜地での使用限界は35度付近と予想された。
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