1986 Fiscal Year Annual Research Report
乳におけるビフィダス活性物質の生物工学的新製造システムの開発
Project/Area Number |
61860030
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
足立 達 東北大, 農学部, 教授 (10005580)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菊地 栄一 雪印乳業株式会社, 技術研究所, 部長
十河 幸夫 雪印乳業株式会社, 技術研究所, 所長
菅原 弘 東北大学, 農学部, 技官 (80089797)
戸羽 隆広 東北大学, 農学部, 助手 (10108483)
須山 享三 東北大学, 農学部, 助手 (70005635)
|
Keywords | トリコデルマ / ビフィダス活性 / 6'-ガラクトシル・ラクトース / ラクトース |
Research Abstract |
約20%のラクトース水溶液100mlを東北大学農学部圃場の畑土壌の一定面積に、毎日灌注することを1ケ月間継続した後、この土壌から分離した真菌類を15%ラクトース含有ツァペック培地で30℃で培養して、オリゴ糖を多量に蓄積する二菌株を選抜した。これらの菌株は菌学的検討の結果、Tricoderma harzianumと同定された。Tricoderma harzianumを前記培地で培養した時には、ヘキソースの生成はほとんど認められず、主としてオリゴ糖が生成し、オリゴ糖の生産に本菌株はきわめて適していることが明らかとなった。本菌によって生成するオリゴ糖を調製用クロマトグラフィーによって分離精製し、メチル化分析を行なった結果、2,3,4,6-tetra-a-methyl-1,5-di-o-acetyl-galactitol,2,3,4-tri-o-methyl-1,5,6-tri-o-acetyl-galactitol,2,3,6-o-methyl-1,4,5-tri-o-acetyl-sorbitolが検出されたので、FABイオン源による算量分析、【^(13)C】-NMR分析の結果とあいよって、本物質は6'-galactosyl-lactoseであることが確認された。6'-galactosyl-lactoseは人乳中に存在し、牛初乳以外の乳には見出されず、人乳哺育乳児の腸内に優位を占るBifidobacterium菌叢の生育促進作用を有するので、ビフィダス活性物質と回される三糖である。したがって、Tricoderma harzionumはラクトースから、ほとんど生成糖として6'-galactosyl-lactoseのみを生産するので、この種のビフィダス活性物質の生産株として非常に有望であることが明らかになった。また、古くから食品加工に応用されてきたArpergillus oryzaeやPenicillium roquefortiにも、6'-galactoryl-lactoseの蓄積能が見出されたが、生産量においてTricoderma-harziamunに優る菌株は見出されなかった。
|
Research Products
(1 results)