1986 Fiscal Year Annual Research Report
凍結技法導入によるより精度の高い免疫組織化学的分析法の開発
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61870001
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
安田 健次郎 慶応大, 医学部, 教授 (90050327)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
市川 厚 横浜市立大学, 医学部, 教授 (50045910)
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Keywords | 急速凍結置換 / ヘリウム / 電子顕微鏡 / 耳下腺 / 膵蔵 / ラット |
Research Abstract |
急速凍結固定装置(ポラロン社)を用い、顎下腺,耳下腺,膵臓(ラット)を材料として凍結置換の條件を変化させて最良の條件を求めた。凍結剤としてヘリウムと液体窒素とを比較したところ、順調に凍結固定出来た場合には両者を使用した間に電子顕微鏡像上に差異はないが、良い標本が出来る確率はヘリウムの方が高い。 置換固定剤の吟味に於てはパラフォルムアルデヒドとグルタルアルデヒドを用いて比較検討した。先づ両者とも再蒸溜し、アセトン中に溶解した。。前者は0.1%の濃度までしか溶解せず、それ以上の濃度にすると白濁の後凝固した。グルタルアルデヒドは2.5%まではアセトンに溶解した。アクロレインも試みたところ溶解性は10%に及んだ。次にこれら三種の固定剤の置換固定効果を試みた。-80゜C,-40゜C,-20゜C,0゜C,+4゜Cと置換固定の温度を昇げた。後室温でアセトンにまで昇げ、その後、エポン及びアラルダイトに包理した超薄切の後、ポストエンベツディング法を用いて抗アミラーゼ抗体を作用させた。次に、新しい試みとして抗プロテインAをサンドウィッチとして、プロテインA-コロイダルゴールド液を二回作用させた。 先づ、形態の保持について電子顕微鏡により観察すると、グルタルアルデヒドアセトン溶液が最も良く、次で、パラフォルムアルデヒドアセトン溶液であった。アクロレインアセトン液は固定効果が不良であった。 次に抗原(アミラーゼ)の保持について検討したところ、グルタルアルデヒドアセトン液で置換固定した標本は反応が弱く、ゴルヂ装置に抗原を証明する事が困難であった。これに反して、パラフォルムアルデヒドアセトン溶液で置換固定した漂本では反応(抗原抗体反応)は極めて良く、耳下腺及び膵蔵の分泌顆粒に今迄にない程多くの金粒子が認められ、又、ゴルジ小胞、層板にも多くの全粒子を認め、これが最良の方法であった。
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[Publications] Kenjiro Yasuda;Shuji Yamashita;Sadakazu Aiso;Masahide Shiozawa;Toshiko Komatsu: Acta histochemica et cytochemica. 19(5). 589-600 (1986)
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[Publications] Masahide Shiozawa;Sadakazu Aiso;Osamu Hoshiai Hiromu Tahara;Shuji Yamashita;Kenjiro Yasuda: Okajimas Folia Anatomica Japonica. 63(4). 209-222 (1986)
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[Publications] 安田健次郎: 日本医師会雑誌. 95(2). 239-240 (1986)
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[Publications] 山下修二,安田健次郎: "組織細胞化学1986(モノクローナル抗体の作製法)" 学際企画株式会社, 282 (1986)
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[Publications] 安田健次郎: "電子顕微鏡生物試料作製法(免疫化学的方法)" 丸善株式会社, 318 (1986)