1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61870014
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
岩田 平太郎 阪大, 薬学部, 教授 (30028823)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松田 敏夫 大阪大学, 薬学部, 助手 (00107103)
馬場 明道 大阪大学, 薬学部, 助教授 (70107100)
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Keywords | (【Na^+】+【K^+】)-ATPase / ウワバイン様物質 / リン酸化 / 内因性物質 / ウワバイン |
Research Abstract |
細胞膜酵素である(【Na^+】+【K^+】)-ATPaseは、強心配糖体であるウワバインの薬理学的受容体と言われており、また細胞膜には特異的なウワバイン結合部位が存在している。このことは、エンドルフィン類の発見から見て、生体内におけるウワバイン様物質の存在を示唆し、近年いくつかの因子が報告されている。これらの内因性ウワバイン様物質に対する研究は、(【Na^+】+【K^+】)-ATPaseの活性調節機構を追求する上で重要であり、また高血圧との関連から考えて、臨床的立場からも注目されている。本研究は、ATPaseの逆反応を用いて、この物質の簡便な測定法を開発しようとするもので、現在までに(【Na^+】+【K^+】)-ATPaseの【^(32)Pi】によるリン酸化反応の基礎的性質を明らかにした。酵素標品としてはラット延髄(α(+)型),小脳(α(+)とα型),ラット,ウサギ,モルモット腎臓(α型)より部分精製したものを用いた。【^(32)Pi】によるリン酸化には、α(+),α型ともに【Mg^(++)】を必要とした。α(+)型の場合α型と異なり、【Mg^(++)】単独ではリン酸化はほとんど見られなかった。【Mg^(++)】存在下において、両型ともにウワバインによりリン酸化が促進されたが、その感受性は異なっていた。すなわちα(+)型の場合【10^(-8)】M以上で、α型の場合【10^(-5)】M以上の濃度で促進効果が見られた。また、これらの効果は【K^+】により選択的に阻害されたが、その阻害作用はα型の方が大きかった。以上の成績から、内因性ウワバイン様物質の測定には、α(+)型酵素の方が適していると考えられた。一方、正常ラット血液中の内因性ウワバイン様物質に関しては、血しょうを熱処理し遠心後に得られる上清分画に〔【^3H】〕ウワバイン結合を阻害する物質が存在していることを認め、この分画が本阻害物質の精製のための出発物質となることを明らかにした。現在、試料から無機リン,【K^+】を除く前処理法について、また〔【^3H】〕ウワバイン結合の阻害度で本因子活性を測定することでラット血しょうからの本物質の精製について検討中である。
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Research Products
(1 results)