1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61870029
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
岡田 晃 金沢大, 医学部, 教授 (10019573)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 秀喜 金沢大学, 医学部, 助手 (70172426)
野原 聖一 金沢大学, 医学部, 講師 (70115260)
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Keywords | 熱クリアランス / 組織血流量 / 皮膚血流量 / 水素クリアランス法 |
Research Abstract |
熱拡散法に基づく血流測定において熱クリアランス曲線を用い、1回の測定毎に0点を補正することにより環境温の影響を受けない方法を考案し、基礎的検討を行った。実験に用いたセンサーには電極先端の温度を測定するための熱電対を配置しその一方に熱を発生させるためのヒーター線を巻きつけた。熱電対で測定した信号をアンプを通して1℃を100mVに増幅してオシロスコープで観測する一方、そのクリアランス曲線をX-Yプロッタにて描記させた。熱伝導率が既知の10種類の物質のプレートにセンサーを装着し、物質の熱伝導率と熱クリアランス曲線の傾きの関係を検討した。また5人の健常男子を対象に指背面にセンサーを装着し、安静時およびマンシェットを用いた阻血時において連続測定を行い、熱クリアランス曲線の再現性について検討した。さらに吸入式水素クリアランス法による組織血流量の測定を行い、同時に熱クリアランス曲線の傾きを測定し両者の関係を分析した。通電時間を一定とし通電電流を変化させた場合の熱クリアランス曲線の傾きはほぼ一定であったが、通電電流を一定とし通電時間を変化させた場合の熱クリアランス曲線の傾きは通電時間が長いほど若干ゆるやかになる傾向が認められた。物質の熱伝導率と熱クリアランス曲線の傾きの間に有意の正の相関が認められ、生対組織においても、血流量に依存する組織の熱伝導率の定量的把握が可能と考えられた。ヒトの指における安静時、マンシェットを用いた阻血時および反応性充血時において熱クリアランス曲線の傾きは明らかに異なり、血流量の変化に伴う皮膚の熱伝導率の変化を把握していることが確認された。また安静時および阻血時の連続測定において高い再現性が得られた。また、吸入式水素クリアランス法による指の皮膚血流量と熱クリアランス曲線の傾きとの相関関係により、絶体値表示も可能となり、現在、環境温を含めた種種の条件下での臨床応用を行っている。
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