1988 Fiscal Year Annual Research Report
癌集学的治療法における直流通電法(DC療法器)の臨床応用に関する研究
Project/Area Number |
61870046
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Research Institution | Keio University, School of Medicine |
Principal Investigator |
橋本 省三 慶応義塾大学, 医学部・放射線医学教室, 教授 (40050348)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊東 久夫 慶応義塾大学, 医学部・放射線医学教室, 専任講師 (20095574)
山下 孝 癌研究会付属病院, 放射線科, 部長 (70110939)
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Keywords | 直流通電療法(DC療法) / 放射線療法 / 表在腫瘍 |
Research Abstract |
直流通電療法は臨床的には、まだその効果が確立したものではない。したがって、臨床上の治療対象とした腫瘍は、すでに他の治療法が試みられて成功せず、再発転移をおこし他に有効な治療法のない場合とした。さらに、体内に電極を刺入した場合の合併症の危険を避けるため、表在腫瘍のみに対して治療が行なわれた。すなわち、本治療法の臨床治験は極めて悪い条件下に行なわれている。 表在性腫瘍内に2本の白金白電を刺入し、それぞれを陽・陰極として定電流装置に接続して、1回に1〜2クーロンの通電を行ない、4〜7日間隔で3〜7回繰り返した。治療効果としては、腫瘍の縮少が多少認められたが、大きな腫瘍を対象としたため、著明な腫瘍サイズの減少はみられたかった。一方、大きな腫瘍による疼痛は、多少とも改善する例がみられ、一応の目的を達した症例があった。 今後の問題点として、動物実験より、腫瘍に対する効果を期待する場合には、最低必要電気量が存在することが示唆されているため、ヒトにおける最低有効電気量を検討していく必要がある。今回の臨床治験で用いた1〜2クーロンは1回通電量として少なかった可能性がある。さらに、抗癌剤との併用において、有効な場合が動物実験から明らかにされているため、抗癌剤の局注との併用を含めて、薬剤による全身的副作用の軽減と抗腫瘍効果の増強についても検討を重ね報告していく予定である。
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