1986 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトG-CSFの無血清無蛋白培養による量産化及びその臨床応用
Project/Area Number |
61870048
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岡部 哲郎 東大, 医学部, 助手 (80169135)
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Keywords | Granulocyte colony-stimulating factor / Recombinant / Granulocytosis |
Research Abstract |
〈緒言〉CSFには、multi-CSF,GM-CSF,G-CSF及びM-CSFがあるが、これらのCSFのうちどれが実際に生体で多核白血球の増殖分化に中心的役割を果しているかは不明であった。我々は、今度、ヒトのG-CSFを遺伝子工学的手法を用いて大量に得ることに成功した。この遺伝子組換えヒトG-CSFがin vivoで顆粒球の増殖を促進するか否か検討した。〈方法〉我々はヒトG-CSFを産生する2つの無血清無蛋白培養株を樹立した。(T3M-IT1,Blanche-1)このうちBlanche-1株を用いて、G-CSFの分離及びN瑞アミノ酸配列を決定した。このアミノ酸配列に対応する合成オリゴヌクレオチドをプローブとして、ヒトのマクロファージより得たcDNAライブラリーよりG-CSFのcDNAのクローニングを行いこれを大腸菌に組み込み大量発現に成功した。これよりG-CSFを大量純化しin Vivoの実験に用いた。〈結果〉Re Hu G-CSFをマウスに投与すると4日目で末梢血顆粒球数は約3倍以上(17,000)に上昇し8日目には約30,000になり、12日目には45000、14日目には80000/【mm^3】にまで達した。マウスの骨髄及び脾臓では顆粒球系の細胞の著しい増生が認められた。〈考察〉Re Hu G-CSFはin vivoで顕著な顆粒球増殖作用があることが判明した。このことは、ヒトG-CSF産生腫瘍の患者で顆粒球増多が認められることから、Re Hu G-CSFが人体に投与した場合も同様に顆粒球増多効果を持つと考えられる。
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[Publications] M.Fujisawa,: Jpn・J・Cancer Res.77. 866-869 (1986)
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[Publications] M.Shimamura,: Blood. 69. 353-355 (1986)
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[Publications] M.Tomida,: FEBS. 207. 271-275 (1986)
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[Publications] T.Okabe,: Pro.Natl.Aca.Sci.(1987)