1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61870056
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
野一色 泰晴 岡山大学, 医学部, 助手 (60033263)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森 有一 東レ, 基礎研究所, 主任研究員 (10288003)
宮田 暉夫 日本医用高分子材料研究所, 所長
山根 義久 小動物臨床研究所, 所長 (50262225)
寺本 滋 岡山大学, 医学部, 教授 (60033049)
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Keywords | 人工血管 / 成長する人工血管 / 動脈瘤 / 親水性ポリエポキシ化合物 / 抗血栓性 / コラーゲン / 新生血管壁 / 内皮細胞 |
Research Abstract |
患児の発育、成長に合わせて、次第に太くなり成長してゆく特性をもつ人工血管の開発を行った。本年は3年計画の最終年度にあたるため、成長できる人工血管の長期間経過における変化の観察から、その安全性を中心として検討を行った。また血管壁のたどる経過の観察から、石灰化などの退行性変性にも特に注目し検討した。人工血管の素材としては、ヒト大伏在静脈および超極細ポリエステル繊維製メッシュチューブを用いた。前者は静脈瘤手術時に採取したもののうち、比較的壁構造の良好なものを用い、これを浸透圧および超音波によって内在するすべての細胞を破壊したあと、親水性架橋剤によって固定処理した。このとき架橋条件を変えることによって、材料の架橋率を制御し、生体内での劣化程度をコントロールして人工血管の成長速度を調節した。後者のポリエステル繊維製メッシュチューブは前者より太いものを用い、前者の外側を覆うように二重の管として植え込んだ。このようにすることで、前者が徐々に成長し、膨んで太くなってきて、後者の内側に至り、それと同じ内径となった時に成長が停止する。超極細ポリエステル繊維は生体親和性に優れており、生体内で安定した血管壁の骨組みとして役立ち、さらにそれは劣化しないため、永久に人工血管の太さを維持できるように設計した。前者は親水性架橋剤で処理されているため、細胞親和性が良好で、宿主細胞が壁内部に多数侵入した。実験結果では、植え込み2年後には完全に人工血管は成長し、それ以後太さの変化を示さず、破裂例はみられなかった。血管壁の光学顕微鏡による検査では、植え込まれた静脈片は1年半で完全に消失し、代って宿主細胞による新しい血管壁が形成されていた。壁には石灰化などの退行性変化は全く認められなかった。以上の結果、作成した人工血管は肉眼レベルでも顕微鏡レベルでみても安全であることが確認された。
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[Publications] Yasuharu Noishiki;Yoshihisa Yamane;Masayasu Furuse;Teruo Miyata: Transactions of American Society for Artificial Internal Organs. 34. 308-314 (1988)
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[Publications] Yuichiro Murayama;Shinichi Satoh;Takahiro Oka;Jiro Imanishi;Yasuharu Noishiki: Transactions of American Society for Artificial Internal Organs. 34. 546-548 (1988)
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[Publications] Yasuko Tomizawa;Takafumi Okoshi;Hitoshi Koyanagi;Yasuharu Noishiki: Transactions of American Society for Artificial Internal Organs. 34. 644-650 (1988)
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[Publications] 野一色泰晴,山根義久: 日本人工臓器学会誌「人工臓器」. 17. 618-621 (1988)
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[Publications] 野一色泰晴,山根義久,宮田暉夫: 日本人工臓器学会誌「人工臓器」. 18. (1989)
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[Publications] 野一色泰晴: 細胞. 20. 208-212 (1988)
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[Publications] Yasuharu Noishiki;Teruo Miyata;Chisato Nojiri;Hitoshi Koyanagi: "Artificial Hearts 2,Tetsuzo Akutsu Edited."A small-caliber vascular graft for aortocoronary artery graft with temporarily artificial and permanently natural antithrombogenicity an" Springer-Verg,Tokyo,Berlin,Heiderberg,New york,London,Paris, 75-85 (1988)
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[Publications] 野一色泰晴: "Annual Review循環器1989"抗血栓性人工血管"" 中外医学社, 233-240 (1988)