1986 Fiscal Year Annual Research Report
腫瘍壊死因子(TNF)誘導作用を示すリポタイコ酸の精製と生産
Project/Area Number |
61870071
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
加藤 慶二郎 岡山大, 歯学部, 教授 (50028718)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 章博 中外製薬株式会社, 応用研究所, 主任研究員
苔口 進 岡山大学, 歯学部, 助手 (10144776)
福井 一博 岡山大学, 歯学部, 助教授 (70034171)
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Keywords | Streptococcus pyogens / リポタイコ酸 / TNF / TNF誘導活性 |
Research Abstract |
Streptococcus pyogenes SV株の全菌体からフェノール-水混液によって抽出されるリポタイコ酸が腫瘍壊死因子(tumor necrosis factor,TNF)誘導活性を示すことを報告して来た(Br.Cancer51:739-742,1985)。TNF誘導活性を示すS.pyogenes Svのリポタイコ酸の定常的な生産と活性部分の純化について検討した。1.TNF誘導活性を示すリポタイコ酸をうるためのS.pyogenesの培養に用いたTodd-Hewitt培地、Tryptase-Yeast extract培地のいずれについても、培養時間(4,8,12,18時間)の比較で8時間培養が最良の場合があったが、18時間培養が再現性のある結果を得た。2.S.pyogenes Svのグルコース制限培地での増殖速度と増殖収率を好気および嫌気環境下で比較した結果、増殖速度は嫌気培養の方が大であったが、増殖収率は好気培養の方が大であった。3.粗リポタイコ酸画分をヌクレアーゼ(RNase,DNase)処理によってUV吸収物質が除去され、TNF誘導活性の増強が見られた。4.S.pyogenes Sv株のリポタイコ酸の主な構成成分はヘキソース5.0%,グリセロール40%,リン31.9%,脂肪酸7.6%であり、高速液体クロマトグラフ(東洋曹達製)によるアミノ酸,アミノ糖分析の結果、アラニン10.1%,グルコサミン0.99%以外のアミノ酸,アミノ糖は無視できる程度であった。5.S.pyogenesの純化リポタイコ酸にステアリル基(【C_(18:0)】),パルミチル基(【C_(16:0)】),ペトロセリノリル(【C_(18:1)】)の導入を行い、脂肪酸含量が0.6〜1.5%の増強がみられたが、TNF誘導活性の上昇はみられなかった。6.S.pyogenesSvのリポタイコ酸は酸処理(IN Hcl,95℃,20分間)によってTNF誘導活性が消失するが、アルカリ処理(0.1N KOH,37℃,1時間)では活性の変化はなく、グリコリピドが活性に関与することを示唆する成績をえたので今後更に検討する予定である。またS.pyogenes以外のTNF誘導活性を示すリポタイコ酸の検索を進める。
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Research Products
(2 results)