1986 Fiscal Year Annual Research Report
コンピュータ・グラフィックスを利用した薬物設計の方法論とシステムの開発
Project/Area Number |
61870085
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
板井 昭子 東大, 薬学部, 助手 (60012647)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
首藤 紘一 東京大学, 薬学部, 教授 (50012612)
飯高 洋一 東京大学, 薬学部, 教授 (90012591)
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Keywords | コンピュータ・グラフィックス / ソフトウェア開発 / コンピュータ分子設計 / ドラッグデザイン |
Research Abstract |
薬物の標的となる受容体(蛋白質や核酸などの生体高分子)の三次元構造がX線結晶解析で既知のときは、その座標を用いて、阻害剤や基質分子との分子間相互作用をシミュレートして、酵素反応の機構を説明したり、薬物設計に直接利用したりすることができる。当研究者らは既に、受容体の薬物結合部位に規則的な三次元格子点を作り、各格子点における様々な物理的化学的性質を計算、保存することによって、薬物結合部位のミクロな空間的性質を表示し、薬物分子との分子間相互作用エネルギーを高速に計算し、分子操作の指標とする方法論を考案し、そのためのプログラムGREENをPS330上で開発した。今回、東大薬学部所有のラスター型三次元カラー・コンピューター・グラフィック・ディスプレイ装置上でも稼動するようにプログラムの修正を行い、かつ様々な改良を施して機能の増強をはかった。薬物分子中の原子が存在できる領域を、その位置の静電ポテンシャル値で色分けした鳥カゴ表現で表示し、さらに受容体の構造から予想される水素結合性官能基の位置が分り易く表示されるので、薬物候補分子をドッキングさせた場合、有利な分子間相互作用ができる粗い配置やコンホメーションが容易に求められる。本システムの有用性を示すため、乳酸菌のジヒドロ葉酸還元酵素,馬肝臓のアルコール脱水素酵素,キモトリプシン等のX線解析された酵素に対して、阻害剤分子や基質分子の結合状態をシミュレートすることを行ってみた。また、受容体の構造が未知の場合、薬物分子側の構造情報のみから活性発現に必須な構造要素を探り出すことは、薬物設計に有用である。そこで当研究者らは、複数分子を原子位置によってではなく、物理化学的性質によって重ね合せた後、その情報を用いて受容体の薬物結合部位のイメージを構築するためのブログラムRECEPSを開発中である。
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[Publications] N.Tomioka: J.Med.Chem.30. (1987)
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[Publications] Y.Kato: J.Med.Chem.30. (1987)
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[Publications] Y.Endo: Tetrahedron. 42. 5905-5924 (1986)
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[Publications] 板井昭子: "生物活性物質の分子設計「コンピュータ分子設計のロジック¨" 20/449 (1986)