1988 Fiscal Year Annual Research Report
エキノコックス競合寄生種導入のための感受性エゾヤチネズミの作出と応用
Project/Area Number |
61880009
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
神谷 正男 北海道大学, 獣医学部, 教授 (30081665)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 守 実験動物中央研究所, 研究員 (00176364)
松崎 哲也 実験動物中央研究所, 研究員 (30167647)
岡本 宗裕 北海道大学, 獣医学部, 助手 (70177096)
奥 祐三郎 北海道大学, 獣医学部, 講師 (60133716)
大林 正士 酪農学園大学, 酪農学部, 教授 (60001517)
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Keywords | 免疫 / 寄生虫 / テニア科条虫 / エキノコックス / 猫条虫 / エゾヤチネズミ / 生物防除 / 局所免疫 |
Research Abstract |
エゾヤチネズミの系統育成ならびに計画生産を実施し、それらの遺伝的変異や免疫学的特性について明らかにしてきた。本年度は特にエゾヤチネズミを「場」としたテニア科条虫の種内ならびに種間競合について検討し、以下のことが明らかとなった。 1.エキノコックスEn(H)株に対するTaenia taeniaeformis Crb株の種間競合:実験動物化されたエゾヤチネズミを用いてT.taeniaeformis虫卵300個を経口投与し、2および3週後にエキノコックス虫卵300個を経口投与し、さらに4週後剖検して各々の群でのEm(H)によるシスト数を算定した。2週間隔ではEm(H)のみの感染群で35±150個に対してCrbのあとEm(H)を感染させた群では16.9±4.4個、3週間隔群で、それぞれ4.6±17.7個、25.7±11.1個であった。何れの群も有意(2週間隔でP<0.05;3週間隔でP<0.01)に近縁種CrbがエキノコックスEm(H)のエゾヤチネズミ肝臓でのシスト形成を抑制することが明らかとなった。 2.T.taeniaeformisとT.crassiceps間あるいは同種間でみられる競合について:免疫に用いた虫体の発育ステージや投与部位をかえて検討したところ、T.crassicepsによる免疫では免疫局所のチャレンジ感染に対してのみ有効であった。一方、T.taeniaeformisによる免疫感染はT.taeniaeformisのチャレンジ感染に対してもT.crassicepsのチャレンジ感染に対しても投与経路にかかわらず有効であることが分かった。 エキノコックス(多包条虫)の主要な中間宿主であるエゾヤチネズミを「場」として、エキノコックスを含めて、種間ならびに株間で、テニア科条虫の中間宿主レベルでの競合の存在が、初めて確認された。本研究によって、種間競合を利用した防除の方向を提示することができた。
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Research Products
(22 results)
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[Publications] KAMIYA,Masao: Nature.
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[Publications] KAMIYA,Masao: Science.
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[Publications] KITAOKA,Mayoko: Journal of Parasitology.
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[Publications] MIYAJI,Suguru: Parasitology Research.
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[Publications] NONAKA,Nariaki: Folia Parasitologica.
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[Publications] SAITOH,Ryu: Parasitology.
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[Publications] AZUMA,Hiroshi: Japanese Journal of Veterinary Research. 37. (1989)
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[Publications] INABA,Chieko: Japanese Journal of Veterinary Research. 37. (1989)
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[Publications] SATO,Hiroshi: Japanese Journal of Parasitology. 38. 46-53 (1989)
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[Publications] ISHIWATA,Kenji: Journal of Experimental Medicine.
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[Publications] ITOH,Kazuhiro: Japanese Journal of Veterinary Research. 37. (1989)
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[Publications] KAMIYA,Masao: Asian Medical Journal. 31. 87-93 (1988)
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[Publications] 大林正士: メディヤサークル. 33. 81-88 (1988)
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[Publications] 神谷正男: モダンディア. 34. 343-351 (1988)
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[Publications] 神谷正男: 日本医師会雑誌. 97. 1921-1925 (1988)
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[Publications] 神谷正男: ふぉーなす. 8. 7-8 (1988)
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[Publications] IWSHIWATA,kenji: Japanese Journal of Veterinary Research. 36. 154 (1988)
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[Publications] IWAKI,Takashi: Japanese Journal Veterinary Research. 36. 156 (1988)
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[Publications] KITAOKA,Mayoko: Japanese Journal of Veterinary Research. 36. 159 (1988)
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[Publications] 神谷正男: "エキノコックスの生活環とその地理的分布(上本騏一編:病原媒介動物の生物地理ー分布と種分化をめぐって)" 東海大学出版会, (1989)
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[Publications] 神谷正男: "微生物の各種抵抗性:寄生虫(前島一淑編:実験動物施設における減菌・消毒作業マニュアル)" ソフトサイエンス社, 151 (1988)
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[Publications] 大林正士: "エキノコックス、広範囲血液・尿化学検査、免疫学的検査" 日本臨床社, (1989)