1986 Fiscal Year Annual Research Report
螢光性ペプチド基質を用いたプロテアーゼ活性測定法の開発とその実用化
Project/Area Number |
61880016
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
岩永 貞昭 九大, 理学部, 教授 (90029942)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森田 隆司 明治薬科大学, 教授 (90128108)
榊原 俊平 (財)蛋白質研究奨励会ペプチド研究所, 所長 (50072765)
川畑 俊一郎 九州大学, 理学部, 助手 (90183037)
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Keywords | 蛍光性ペプチド基質 / 血液凝固因子 / 【VII】因子 / 【IX】因子 / セリンプロテアーゼ / 【X】因子 / 7-アミノ-4-メチルクマリン / α-スロンビン |
Research Abstract |
1977年、本研究の代表者らが開発したペプチジル-4-メチルクマリン-7-アミド(MCA)は、水解によって遊離する7-アミノ-4-メチルクマリンを高感度に検出できる点、プロテアーゼの合成基質として非常に有用であり、今日まで血中や生体組織由来のプロテアーゼに対する種々の特異的MCA基質が広く活用されている。 本研究では、凝固・キニン・補体系プロテアーゼに対して、一層特異性の高い高感度基質を開発する目的で、【P_1】部位にArgをもつジ,トリ,テトラペプチド-MCAを、【P_2】、【P_3】部位のアミノ酸残基を系統的に置換しつつ、計7.0種類合成し、それらの有効性を検討した。また、各種のプロテアーゼは主にウシ血漿から精製・分離し、高純度標品を使用した。その結果、α-スロンビンについては、Pecat/Kmが従来の合成ペプチド基質の3倍以上を示すもの2種(Boc-Asp(OBzl)-Pro-Asn-Pro-Arg-MCA,Boc-Arg-MCA)を見い出した。【X】a因子に対しては、Z-Phe-Gly-Arg-MCAとBoc-Ile-Gly-Arg-MCAが最も良く水解され、さらに【XII】a因子の特異基質として、新たにBoc-Gln-Gly-Arg-MCA、また活性化プロテインCの基質として、Boc-Met-Thr-Arg-MCAを見い出した。しかし、【IX】a因子と【VIII】a因子の特異的基質は上記の70種の中にも見い出すことが出来ず、両者の天然基質である【X】a因子の切断部位をもとに合成したBoc-Val-Val-Arg-MCA基質もまったく水解しなかった。従って、一次構造上で切断部位の近くにあるアミノ酸残基が必ずしも酵素側との親和性を増すのに有効でないことが示唆される。 現在、【IX】a因子と【VII】a因子の特異基質については、【X】因子の切断されるペプチド配列を含む断片を調製し、それを用いて両セリンプロテアーゼの要求する最小構造単位を調べつつある。また、上記のペプチド基質を活用した測定法の実用化についても検討を加えている。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Kawabata,S.: J.Biol.Chem.261. 1427-1433 (1986)
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[Publications] Kawabata,S.: J.Biol.Chem.261. 527-531 (1986)
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[Publications] Nakamura,T.: Eur.J.Biochem.154. 511-521 (1986)
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[Publications] Morita.T.: J.Biochem.99. 561-568 (1986)
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[Publications] Iwanaga,S.: J.Protein Chemistry. 5. 255-268 (1986)
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[Publications] Sasaki,T.: J.Biochem.99. 1699-1705 (1986)
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[Publications] 岩永貞昭 著 日比野進 監修: "血液学" 丸善, 22 (1985)
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[Publications] 宮田敏行,岩永貞昭 著 小谷正雄,大井龍夫,次田晧,崎山文夫,岩永貞昭 編: "蛋白質・DNAのデータバンクと情報解析" 共立出版, 8 (1986)