1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61880027
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小川 桂一郎 東京大学, 教養学部, 助手 (50114426)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 弘 順天堂大学, 医学部, 教授 (00012229)
竹内 敬人 東京大学, 教養学部, 教授 (80012384)
吉村 伸 東京大学, 教養学部, 助手 (20182818)
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Keywords | コンピュータ / 分子モデリング / 分子力学計算 / 分子軌道計算 / X線結晶解析 / NMR / ネットワーク |
Research Abstract |
今年度は、昨年度にひきつづき、システムの基本ソフトウェアとアプリケーションプログラムの整備と改訂を行うとともに、これらを構造有機化学の研究・教育に利用しながらシステムの試行を繰り返し行った。以下に、今年度に行った主な作業と成果を記す。 (1)本システムを支えているオペレイティングシステム(OS)は、バークレー版UNIXのDEC版であるUltrixである。導入当初は、4.2BSD(Berkley Software Distribution)相当のversion 1.2であったが、現在は4.3BSD相当のversion 2.3を稼働させている。 (2)ワークステーションのマルチウィンドウシステムには、Xーwindowを使用している。導入当初はversion X10であったが、現在はversion X11 release 3を稼働させている。 (3)X線結晶解析プログラムシステムSHELXSを使って、一連の1,2ージアリールエチレン類の結晶解析を行い、これらのエチレン結合はベンゼン環と共役しているにもかかわらず、孤立した炭素・炭素二重結合よりも短く、その長さは観測温度の低下とともに増大する傾向があることを見出した。この結果は、X線結晶解析によって得られたデータの解釈には、慎重でなければならない場合のあることを示した。なお、この結果は、結晶中の分子内運動と密接に関係していると考えられ、現在、その観点からの研究が進行中である。 (4)NMR解析プログラムDAVINSを使って得た一置換ベンゼン上のプロトンのスピン結合定数は、半経験的分子軌道計算プログラムAM1によって得られた電子密度とよい相関を示すことが分かった。 以上のように、本システムは、教育のみならず研究にも非常に有用であることが確められた。
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[Publications] Y.Takeuchi: J.Chem.Soc.,Perkin Trans.2. 7-13 (1988)
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[Publications] K.Ogawa: J.Chem.Soc.,Perkin Trans.2. 39-43 (1988)
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[Publications] S.Yoshimura: Chem.Pharm.Bull.36. 841-844 (1988)
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[Publications] K.Ogawa: Bull.Chem.Soc.Jpn.61. 939-943 (1988)
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[Publications] K.Ogawa: Acta Cryst.C44. 505-508 (1988)
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[Publications] K.Ogawa: J.Chem.Soc.,Perkin Trans.2. 2115-2118 (1988)
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[Publications] 吉村伸,小川桂一郎: "X線結晶解析プログラムSHELXS利用の手引き" 東京大学大型計算機センター, 1-200 (1989)