1986 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトペプシノーゲンアイソザイムの免疫化学的個別定量法の確立と臨床検査への応用
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61890005
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高橋 健治 東大, 理学部, 教授 (70011533)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三木 一正 東京大学, 医学部, 助手 (70107639)
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Keywords | ペプシノーゲン / ペプシン / 酵素免疫測定法 / ELISA / モノクローナル抗体 / ラジオイムノアッセイ / 遺伝子 / Slow-movingプロテアーゼ(SMP) |
Research Abstract |
1.ヒト血清中のペプシノーゲン【I】(またはA)の酵素免疫測定法(ELISA)を確立した。ヒトペプシノーゲン【I】に対するモノクローナル抗体とアルカリ性ホスファターゼ結合抗マウス免疫グロブリンF【(ab´)_2】断片を調製し、これらを用いる2段階拮抗測定法であり、血清中のペプシノーゲン【I】を8〜256μg/lの濃度範囲で選択的に定量できる。ヒトペプシノーゲン【II】(またはC)等との交叉反応性は無い。本法はラジオイムノアッセイ法とよく一致した結果を与えた(r=0.87,n=92)。本法を用いて測定した血中ペプシノーゲン【I】量は胃または十二脂腸潰瘍時に高く、一方、胃癌時には低く、胃腸疾患検査への有用性が示された。 2.ヒト胎盤由来DNAを用いコスミドライブラリーを調製し、ラットプレペプシノーゲン【II】のcDNAをプローブに用いて、プレペプシノーゲン【II】の遺伝子を單離,クローン化した。その塩基配列分析から、本遺伝子は9個のエクソンと8個のイントロンから構成され、翻訳域は16残基のシグナル配列、43残基の活性化ペプチドおよび329残基のペプシン部分からなることが判明した。この結果、ヒトのペプシノーゲン【II】の完全一次構造が初めて決定された。 3.上述のスクリーニングの際に得られたプレペプシノーゲン【I】クローンの詳細な制限酵素地図解析を行ない、2個の構造的に非常に類似した遺伝子が近接して連鎖していることを明らかにした。この両遺伝子は従来本研究者らが得た遺伝子と類似しているが明らかに異なり、この結果、ヒトのペプシノーゲン【I】遺伝子は少なくとも3個存在することが明らかとなった。 4.ヒト胃粘膜よりslow-movingプロテアーゼ(SMP)を分別,精製し、3成分を單離した。これらについて、一次構造の一部を決定し、ペプシン類縁のプロテアーゼであることを示した。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] T.Kageyama: Journal of Biological Chemistry. 261. 4395-4405 (1986)
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[Publications] T.Kageyama: Journal of Biological Chemistry. 261. 4406-4419 (1986)
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[Publications] T.Hayano: Biochemical and Biophysical Research Comminications. 138. 289-296 (1986)
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[Publications] Y.Ichihara: European Journal of Biochemistry. 161. 7-12 (1986)
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[Publications] S.C.Huang: Clinica Chimica Acta. 162. 85-96 (1987)
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[Publications] K.Miki: Clinica Chimica Acta. (1987)