1987 Fiscal Year Annual Research Report
温度感受性変異体等を用いたcーfos遺伝子機能の解析
Project/Area Number |
62015025
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
伊庭 英夫 東京大学, 理学部, 助教授 (60111449)
|
Keywords | レトロウイルスベクター / cーfos遺伝子 / in vitro mutagenesis / 転写制御因子 / 温度感受性変異株 |
Research Abstract |
本年度は先に提出した実施計画に従い, 以下の実績をあげた. 1.前年度に作製したvーfos及びマウスcーfos遺伝子を発現するレトロウイルスベクター(それぞれFJ2,FM4と命名)は,共にCEFをトランスフォームする活性を有した. また,どちらのウイルスも本来体止期にあるニワトリ神経網膜細胞の増殖を刺激する活性を持っていた. 2.FJ2のvーfos翻訳領域内に,12ヌクレオチド4アミノ酸をin vitroで挿入した変異株を10種類作製した所,一つの変異株(FJーA2)でのみトランスフォーメーション活性を失うものがあった. これは,N端から159番目のアミノ酸の次にPLERからなる4アミノ酸を挿入したものである. FJーA2は40℃においては神経網膜細胞の増殖を支持しないが,36℃においては,ある程度の増殖刺激を示す. 従ってトランスフォーメーション活性と増殖刺激活性が,ある程度分離される可能性を示した. 3.FM4を変異源で処理後,トランスフォーメーション活性についての温度感受性変異株の単離を試みた. 現在までに約2500株を分析しているが,安定な温度感受性変異株の単離には成功していない. 4.ニワトリcーfos遺伝子をクローニングし,その塩基組成分析から構造を明らかにした. cーfos遺伝子産物の一次構造をヒト,マウス,ニワトリ間で比較することにより,エクソン3をすべて含む110アミノ酸からなる領域が,極めて良く保存される事が分った. FJーA2は正にこの領域の中央部に変更があることから,この領域がfosの少くともトランスフォーメーション活性には必須である事が分った. 5.vーfosのN端及びC端領域をin vitroの組換えで欠失させたFJ2の変異株は,野生株の50%の分子量となってもトランスフォーメーション活性を有する.
|
-
[Publications] H.Nakano: J.Antibiotics. 40. 706-708 (1987)
-
[Publications] T.Iba: Oncogene Research. (1987)
-
[Publications] K.T.Fujiwara: J.Virol. 61. 4012-4018 (1987)