1987 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトNK細胞及びT細胞による自己腫瘍細胞の認識と障害
Project/Area Number |
62015035
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
内田 温士 京都大学, 放射線生物研究センター, 助教授 (10185019)
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Keywords | LGL / NK細胞 / 細胞傷害性T細胞 / 自己腫瘍細胞傷害 / MHC抗原 / CD31T細胞抗原レセプター |
Research Abstract |
新鮮なヒト腫瘍細胞に対する自己腫瘍細胞傷害性リンパ球はCD2^+CD3^-CD4^-CD8^-CD16^+Leu19^+NK9^+のLGL型とCO2^+CO3^+CD4^-CD8^+CD16^-NK9^+またはCD2^+CD3^+CD4^+CD8^-CD16^-NK9^+のT細胞型とに分類された. 腫瘍細胞上のMHC抗原の表現は患者によって大きく異なり,HLAクラスIおよびII抗原共に陽性の腫瘍細胞,一方だけ発現しているもの,両者共に欠如しているものに分かれた. 各エフェクター細胞の表現型と自己腫瘍細胞のMHC抗原表現との間に一定の関係は見られなかった. 抗CD3抗体を用いた阻止実験の結果は,T細胞による自己腫瘍細胞傷害機構にはCD3/T細胞抗原レセプター(TCR)複合体依存性と独立性の両者があることを示唆している. 標的細胞結合試験で抗CD3抗体はT細胞の自己腫瘍細胞への結合は阻止しなかったが,アガロース単細胞傷害試験に於いて抗CD3抗体はT細胞と自己腫瘍細胞結合後の細胞溶解過程を阻止した. LGLの自己腫瘍細胞傷害活性には,CD16抗原もLeu19抗原も関与していなかった. 抗MHC抗体による阻止実験は,T細胞の特異的自己腫瘍細胞傷害には標的細胞上のMHCクラスI抗原発現が必須の場合が多いが,本抗原が全く必要でない例も少なからずあることを示している. 対照的にLGLの自己腫瘍細胞傷害過程で標的細胞のMHCクラスI抗原は負の調節をする例が半数に見られた. MHCクラスII抗原はLGLおよびT細胞の自己腫瘍細胞傷害には関与していなかった. 自己腫瘍細胞傷害性LGL,T細胞共にNK9抗原を持ち,本抗原の表現を阻止するとその細胞傷害活性は示せなかった. ところがLGLのNK(K562細胞傷害)活性は抗NK9抗体処理に抵抗性を示した. 以上本年度の研究成績は,LGLおよびT細胞による新鮮自己腫瘍細胞の認識,傷害はLGLのNK標的細胞に対する反応や細胞傷害性Tリンパ球のアロ抗原特異的標的細胞に対する反応とは共通するものも多いが,異なる面を持つことを示唆している.
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Uchida,A.,Moore,M.,and Klein,E.: Int.J.Cancer. 40. 165-170 (1987)
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[Publications] Uchida,A.,Moore,M.,and Klein,E.: Int.J.Cancer. 41. (1988)
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[Publications] Uchida,A.: Host Defense Mechanisms and The Biological Response Modifier. (1988)
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[Publications] 内田温士,星野孝: 臨床免疫. 19. 249-254 (1987)