1987 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62015039
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
伊藤 嘉明 京都大学, ウイルス研究所, 教授 (80004612)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐竹 正延 京都大学, ウイルス研究所, 助手 (50178688)
野田 哲生 京都大学, ウイルス研究所, 助手 (10183550)
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Keywords | 中型T抗原 / Haーras;エンハンサー / 調節因子 / オンコジーン / CATアッセイ / トランスフォーメーション / ポリオーマウイルス |
Research Abstract |
ポリオーマウイルスの持つ三種の発癌遺伝子産物,大・中・小型T抗原の機能解析に関し本年度最も進展のあったのは中型T抗原の機能に関連した研究である. 即ち, 中型T抗原はp60^<cーsrc>と結合しチロシン特異的リン酸化酵素活性を恒常的に上昇させるが, その異常なシグナルが最終的に核に到達する際それを受けとめると考えられるもの, 即ち遺伝子発現に直接関与している転写制御因子が如何なる影響を受けるかとの立場からの研究である. ポリオーマウイルス・エンハンサーはN1H3T3細胞で機能し, これに連結したCAT遺伝子を発現させる. このCAT遺伝子を持つプラスミドを中型T抗原遺伝子或はHaーras遺伝子と同時にトランスフェクトするとCAT活性が促進される. Haーrasの場合, この促進能は24塩基対よりなるAエレメントと呼ばれるエンハンサーの亜領域を標的とする事が判明した. Aエレメントには三つの機能単位があり, そのうちの二つに特異的に結合する因子B及びCをN1H3T3細胞の核抽出液中より検出した. Haーrasによる活性促進は主としてB因子を標的として起る. 一方HaーrasでトランスフォームしたN1H3T3細胞の核抽出液中にはB因子もC因子も検出されず, 代って新しい因子Dが検出された. しかもD因子の認識部位はC因子のそれと全く同一であった. 中型T抗原でトランスフォームした細胞でも全く同様の因子の変化が見られた. 中型T抗原やHaーras等のオンコジーンがエンハンサーの機能の発揮に直接かかわっている調節因子の活性・存在様式を劇的に変化させるとの所見は, 細胞癌化課程で起る遺伝子発現の変化の原因の一部がこれら調節因子の機能の変化であるというきわめて重要な可能性を示唆するものと考えられる.
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Tetsuo Noda: J.Virol.61. 2253-2263 (1987)
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[Publications] Tetsuo Noda: J.Virol.62. 313-324 (1988)
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[Publications] Imre Kovesdi: Nature. 328. 87-89 (1987)
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[Publications] Masanobu Satake: J.Virol.