1987 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62015052
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
井出 利憲 広島大学, 医学部, 教授 (60012746)
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Keywords | 細胞周期 / 増殖調節 / 温度感受性変異株 / 遺伝子クローニング / がんウィルス |
Research Abstract |
我々は先に,細胞増殖停止期(G0期)から増殖周期(特にG1,S期)への進行時に働らく材能のみが変異し,増殖周期内では変異表現型を示さない,ユニークな温度感受性変異株(tsJT60)をラット線維芽細胞より分離した. このような性質を持つ変異株は報告例がなく,増殖調節の重要な過程を担う遺伝子の変異と考えられるため,その遺伝子のクローニングを目指した. 通常の温度感受性変異株は高温致死であるので,ヒト細胞などのDNAをトランスフェクトした後に高温培養し,移入した正常遺伝子の働らきで正常表現型に復帰した細胞をクローニングすることは容易である. これに対してtsJT60は高温でも増殖できるので,選択法を工夫する必要があった. 既に我々は本細胞を5型アデノウィルスE1B遺伝子欠損株(dl313)でトランスホームすると著しく高温致死的となることを見出した(例えばクローン8ー2). このクローンが遺伝子単離への出発細胞として使えるか否かの検討のひとつとして,高温致死性が細胞の二次的変異によるものではないことを,12型アデノウィルスE1B19KD遺伝子欠損株(dl205)でトランスホームしても同様に高温致死的になることから確認した. 次に本細胞は,DNAトランスフェクション効率が著しく低い問題があったが,DMSO,グリセロールショックなどの常法の他,アンホテリシン,クロロキン処理や,更に電気パルス導入法などを試み,効率を従来の100倍程上昇させることができた. また,自然復帰株を拾う可能性を下げるため,100個の細胞を20枚のシャーレにまき,各々100万個まで増殖させた後に2枚に分け,一方にトランスフェリトレ,対照側の自然復帰率の低いものから細胞を拾うことにした. 本実験としてヒラ細胞DNAを8ー2細胞にトランスフェクトレ,ヒトAlu配列を持つ正常復帰株12クローンを得た. 各々よりDNAを精製し,二次トランスホーム細胞を得ているなど,本研究は順調に進行している.
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[Publications] Toshinori Ide: Biochemistry. 25. 7041-7046 (1986)
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[Publications] Yuso Goto: Experimental Cell Research. 170. 491-498 (1987)
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[Publications] Jun NinomiyaーTsuji: Experimental Cell Research. 171. 86-93 (1987)
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[Publications] Jun NinomiyaーTsuji: Experimental Cell Research. 171. 509-512 (1987)
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[Publications] Jun NinomiyaーTsuji: Cell Structure and Function. 12. 421-432 (1987)
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[Publications] Jun NinomiyaーTsuji: Cancer Research. 47. 6028-6032 (1987)