1987 Fiscal Year Annual Research Report
癌の悪性度(特に転移能)に関与する遺伝子の検索・同定とその生物学的機能解析
Project/Area Number |
62015060
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
谷口 俊一郎 九州大学, 生体防御医学研究所・細胞学部門, 助教授 (60117166)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
馬場 恒男 九州大学, 生体防御医学研究所・細胞学部門, 教授 (70037323)
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Keywords | 癌転移 / 浸潤 / フオス癌遺伝子 / アクチン |
Research Abstract |
1.vーfos癌遺伝子導入によって肺転移が増強したラット形質転換細胞(SRー3Y1ー2)について, 生化学的及び生物学的検討を加えた結果, 以下の新知見を得た. (1)vーfosによる転移能増強は, in vitro,in vivo(筋肉内)での増強能, 肺への定着能とは相関しなかった. (2)Matrigelを用いたin vitroの系及び腫瘍組織において, vーfos導入による高転移性獲得細胞は, 浸潤能が増強していた. (3)浸潤能増強は基底膜成分であるラミニン,IV型コラーゲンへの細胞接着能とは相関せず, 運動性の増強又は蛋白分解酵素の増強が主因と考えられた. (4)vーfos導入細胞で癌遺伝子発現を調べた結果, ras,myc,srcの顕著な発現増強はみられなかった. 2.高転移性と低転移性細胞間での発現蛋白比較検討によりマウスB16黒色腫において発見したA^xアクチン(A^x)について, 更なる知見を得た. (1)A^xは機能的(重合能,DNaseIへの結合能)に正常である. (2)A^xの転移能増強に伴なう発現低下は, A^x蛋白の寿命短縮ではなく, mRNAレベルで生じていた. (3)A^x発現は, アクチンストレスファイバー構築低下, in vitro浸潤能増強と逆相関した. (4)A^xのcDNAクローニングに成功し, A^xの全構造を決めた. A^xはアミノ酸配列においてβアクチンと類似している(28aaがArg→Leu)が, 5′,3′のuntranslated regionが, βと異なっており, βとは独立の遺伝子と考えられた. 3.ヒト色素組織で悪性化に伴なって発現変化する第3アクチンの検討を更に加え, 多くの症例で, この事実が確認された. 又, このアクチンは平滑筋α型アクチンであること, 及び培養正常色素細胞において, この第3アクチンの発現が認められた.
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[Publications] Shun'ichiro Taniguchi: J.Biological Chemistry. 261. 6100-6106 (1986)
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[Publications] Shun'ichiro Taniguchi: Jpn.J.Cancer Res.(Gann). 77. 1193-1199 (1986)
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[Publications] Shun'ichiro taniguchi: Proc.Jpn.Soc.Invest.Dermatol.11. 38-39 (1987)
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[Publications] Toyokazu Kawano: Biochem.Biol.Res.Commun.149. 173-179 (1987)
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[Publications] Shun'ichiro Taniguchi: J.Biological Chemistry. (1988)
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[Publications] Tsuneo Baba: "Cancer Chemotherapy: Challenges for the Future(Vol.2)" Excerpta Medica, 286-292 (1987)