1987 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトHーras遺伝子のエンハンサー機能と発癌の相関
Project/Area Number |
62015094
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
石井 俊輔 理化学研究所, ライフサイエンス筑波研究センター・分子遺伝, 副主任研究員 (00124785)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今本 文男 理化学研究所, ライフサイエンス筑波研究センター・分子遺伝, 主任研究員 (00029761)
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Keywords | ras遺伝子 / エンハンサ / 反復配列 / ポリモルフィズム / 発がん頻度 |
Research Abstract |
ヒトCーHaーras1遺伝子poly(A)付加部位の1kb下流に28bpを単位とする反復配列が存在する. この反復の程度は人によって異なり,ポリモルフィズムを示し,メンデルの法則に従って遺伝されることが知られていた. このポリモルフィズムとがん発症頻度との相関が報告されたが,反論もあり,統一的見解には到っていない. 我々はcーHaーras1プロモーターーCAT遺伝子を含むプラスミドを細胞にトランスフェクション後,neo^rトランスフォーマントを得る方法を用いてこの反復配列の機能を検討した結果,(1)反復配列はHーrasプロモーターからの転写を数倍促進し,その促進の程度は反復配列の数及び細胞タイプに依存する. (2)トランスフェクション後,プラスミドDNAの宿主クロモソームへ組み込まれるコピー数は,反復配列を挿入することによって上昇し,この効果も細胞タイプに依存する,ことを見出した. これらのエンハンサー様,及び組み換えのhot spot様の機能と発がん頻度との相関を解析するため,G.Saglio(イタリア,トリノ大)及びM.A.Pierotli(イタリア,国立がん研)の2つのグループより,乳がんと相関の認められる長さの反復配列を有するがん患者DNA及び悪性黒色腫と相関の認められる変異をもつ反復配列を有する患者DNAを入手し,Hーras遺伝子下流の反復配列をクローニングした. 材料として使用できるDNA量が少ないため,いくつかの工夫を要し予想以上の時間を費やした. 現在乳がんと相関の認められる長さの反復配列を2つクローニングすることに成功している. そのエンハンサー様活性を解析した結果,特に有意に高いエンハンサー様活性は見られなかった. 組み換えのhotーspot様活性については現在検討中である. 今後もう少し多くのサンプルのクローニングを行い,検討することが必要と思われる.
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Kohno,I.et al.: submitted to Proc.Nat.Acad.Sci.U.S.A.
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[Publications] Nagase,T.et al.: submitted to Mol.Cell.Biol.