1987 Fiscal Year Annual Research Report
環境中の動脈硬化原ーがん原物質の検索及びその作用機構の解明
Project/Area Number |
62015099
|
Research Institution | National Cancer Center Research Institute and Research Center for Innovative Oncology, National Cancer Center Hospital East |
Principal Investigator |
若林 敬二 国立がんセンター研究所, 発がん研究部, 室長 (60158582)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
落合 雅子 国立がんセンター研究所, 発がん研究部, 研究員 (90150200)
田平 知子 国立がんセンター研究所, 発がん研究部, 研究員 (50155230)
長尾 美奈子 国立がんセンター研究所, 発がん研究部, 部長 (40100151)
|
Keywords | アテローム斑 / がん / 加熱食品 / 2ーアミノー3ーメチルイミダゾ〔4,5ーf〕キノリン |
Research Abstract |
我が国における, 現在の死亡の主要因は心臓や脳の脈管系疾患とがんである. 動脈硬化に伴い発生するアテローム斑とがんはいくつかの共通の性質を有する. したがって, 環境中のこれら疾患に共通する原因物質を検索することは重要である. そこで, 我々は加熱食品中に存在するがん原物質2ーアミノー3ーメチルイミダゾ〔4,5ーf〕キノリン(IQ)がアテローム斑を誘発するか否かについて検討した. 実験は, 4週令の白色レグホン種のニワトリを用いて開始した. IQを, 10mg/kg/ml DMSOの濃度で胸部筋肉内に週1回, 実験終了時まで投与した. 実験は26週間で終了した. 動物を屠殺し, 腹部大動脈を取り出し, 10%ホルマリンで固定した. 血管は5mmの間隔で切り出し, 常法に従い組織切片を作製した. その後, エラスチカ・HE染色を行い, 発生したアテローム斑の数及び面積を測定した. その結果, IQ投与群には10羽中8羽に, 対照郡には, 10羽中5羽にアテローム斑の発生が認められた. アテローム斑の面積は, IQ投与団では0.083±0.119mm^2であり, 対照群では0.064±0.0034mm^2であった. 以上の結果より, IQはニワトリの動脈にアテローム斑を誘発することが推測された. しかし, 本実験においては, アテローム斑の発生頻度及び面積とも対照群のそれらに比べ統計学的に有意な差は認められなかった. 現在, さらに高濃度のIQを用いた実験が進行中である. IQの食品中の分布についても検討した. その結果, 加熱調理したタラ中にIQが存在することを見い出した. その含量は, 加熱調理したタラ1g当たり0.16ngであり, 加熱調理した牛肉中のIQの含量とほぼ同じであった.
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] Sugimura,T.,Wakabayashi,K.,Nagao,M.and Ohgaki,H.: Proceedings of the Symposium on"Diet,Nutrition and Health",London,Ontario,Canada,29,May,1987. (1988)
-
[Publications] Zhang,X.M.,Wakabayashi,K.,Liu,Z.C.,Sugimura,T.and Nagao,M.: Mutation Research. (1988)