1987 Fiscal Year Final Research Report Summary
稲作経済・政策の国際比較研究ー米輸出国の米国とタイの稲作の生産費・経営形態・金融・流通及び政策の経済分析ー
Project/Area Number |
62041046
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Research Category |
Grant-in-Aid for Overseas Scientific Research
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | Field Research |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
亀谷 是 京都大学, 農学部, 教授 (20026529)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
T Onchan タイ国カセサート大学, 経済学部, 教授
W R Grant テキサスAGM大学, 農学部, 教授
亀山 宏 香川大学, 農学部, 助手 (70177608)
武部 隆 京都府立大学, 農学部, 助教授 (30093264)
加古 敏之 愛媛大学, 農学部, 助教授 (00121533)
小池 恒男 滋賀県立農業短大, 農業部, 助教授 (50074076)
辻井 博 京都大学, 農学部, 助教授 (60027589)
稲本 志良 京都大学, 農学部, 助教授 (80026468)
堀田 忠夫 愛媛大学, 農学部, 教授 (40036439)
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Project Period (FY) |
1987
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Research Abstract |
日本の稲作経済の現段階における根本問題は.いかにして国民に主食である米を安価に安定的に供給し.日本の食糧安全保障を効率的に維持するかにある. この問題は米の生産.流通.金融.政策と自然資源の賦存量とその保全管理の5分野に根本的に関係している. またこの問題は.米を重要な輸出品とする.または.米を主食とする世界の.多数の国々の上記5分野における現状と将来にも深く関係している. 本研究は.これら5分野を.世界の2大米輸出国である米国とタイ国を対象にして.農家経済分析学.農業会計学を含む広義の農業経営経済学的方法とその他ミクロ及びマクロ経済学的方法により.日本との比較の視点から総合的に研究し.上記根本問題の解決に学術的に貢献することを目的とする.本年度は米国で本調査を行った. 本年度の研究により1980年代に米国のコメ経済・政策が激変してきたこと.およびそれが1986年4月よりの国際コメ摩擦の原因になっていることが明らかになった. 米国のコメ政策は1980年代にその保護率を急速に高めたが.80年代には世界コメの過剰化が進行しており国際米価は低落を続けた. そのため米国のコメ輸出は急速に国際競争力を失い世界コメ市場での米国のシェアーが減少した. それに対して特にタイ国が.そのコメ輸出制限政策をゆるめるという適切な政策により同シェアーを急速に伸ばし世界最大の輸出国になった. 米国のコメ輸出の減少と国内高米価のため80年代に1986年にかけて米国に過剰米が急速に累積した. この多量の累積過剰米が.1986年4月からの米国のコメ・ダンピング輸出による世界コメ戦争の勃発の原因であり.1986年9月の米国の対日コメ市場開放要求の原因でもある. 米国のコメ政策は.また80年代になって.急速なコメ個別経営の分割とコメ生産効率の低下の原因にもなっている. 米国のコメの流通は.精米段階の寡占と米国の消費者のコメと米価に対する注意度の低下のため.寡占的非効率性がある可能性が高い. しかしコメの消費はかなりの速度で増大している. 水と土は米国のコメ生産にとってかなりのボトルネックになっている. 今後はこれらの知見をさらに深め.日米コメ摩擦の解消の方向を探りたい.
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Research Products
(7 results)
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[Publications] 農業計算学研究. 第20号. (1988)
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[Publications] エコノミスト. 4.14. (1987)
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[Publications] 研究月報. 405号. (1987)
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[Publications] 国際農林業協力. VoL9.No4. (1987)
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[Publications] 農業と経済. 53ー3・53ー4. (1987)
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[Publications] 農業計算学研究. 第19号. (1987)
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[Publications] "世界コメ戦争" 家の光協会, (1988)