Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
江本 義理 東京農工大学, 講師 (40000442)
西浦 忠輝 東京国立文化財研究所, 修復技術部, 主任研究官 (20099922)
青木 繁夫 東京国立文化財研究所, 修復技術部, 主任研究官 (60088797)
増田 勝彦 東京国立文化財研究所, 修復技術部・第一研究室, 室長 (40099924)
三浦 定俊 東京国立文化財研究所, 保存科学部, 主任研究官 (50099925)
石川 陸郎 東京国立文化財研究所, 保存科学部, 主任研究官 (30000459)
平尾 良光 東京国立文化財研究所, 保存科学部・化学研究室, 室長 (40082812)
樋口 清治 東京国立文化財研究所, 修復技術部, 部長 (00088791)
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Research Abstract |
日中文化交流の一環として行われる中国, 日本の文化財の保存のあり方についての共同研究を行う. 文化財の保存については, その環境の及ぼす影響は極めて大きい. このため, 敦煌莫高窟等砂漠地帯における文化財の保存環境の実態について, 各種の環境条件(長期, 短期の温度, 湿度など)を現地計測し, 今後の保存施策立案の一助とするものである. 中国砂漠地帯の文化財として特に重要な敦煌莫高窟の保存状態, 環境条件についての調査を行った. 自然環境については温度, 湿度, 日照, 飛砂量について継続計測を開始した. また, 環境条件に関わる資料の収集に努め, 中国側研究者との討議を行った. 自然環境の継続計測は, 中国敦煌研究院の研究者と協力して, 第194窟内外に測定機器を設置することにより開始した. 温度, 湿度は窟内二ヶ所と窟外一ヶ所の三ヶ所について3時間毎のデータを, 電池で一年以上稼働する電子記憶式記録計(フィールドメモリ)に記憶させる方法によった. データは来年度現地において中国則研究者と共同で, ハンドヘルドコンピュータで読出し解析処理する予定である. 日照は積算日照計を窟内四ヶ所, 窟外一ヶ所に設置した. これも来年度現地で読出器でデータを読出し, 解析, 考察する予定である. 飛砂は窟内の六ヶ所にプラスチックシャーレーを, 一ヶ所にステンレスバットを置いた. 来年度現地において飛砂の量, 質について調査を行う予定である. 以上の温度, 日照, 飛砂の測定は来年度以降も継続して行う. 現地における状態調査の結果, 石窟を構成する岩石の劣化については, 雨水(降雨量自体は非常に少いが)の影響がかなりあるものと考察された. そこで, 来年度から雨量, 風向, 風力の計測を開始する予定である. 文化財の保存に関わる砂漠地帯の自然環境についての討議および資料の収集を敦煌研究院の他, 新彊生物土壌砂漠研究所, 蘭州化学記業公司研究所の研究員らと行った. 以上,今年度は状態調査, 計測機器設置が中心であったが, 来年度以降データの集積, 解析, 考察により多くの知見が得られるものと期待される.
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