Research Abstract |
近年, 世界的見地から,国際的な学術情報提供に関する日本の役割への期待が高まりつつある. このような状況に対応して, 文部省においても, 国際的な学術情報の整備及び情報通信ネットワークへの参加が企画されている. それの一環として, 神戸大学経済経営研究所附属経営分析文献センターにおいては「多国籍企業データベース」を構築し, 国内及び国外に対する公開利用の準備を整えている. さらにまた神戸大学においては, 「多国籍企業データベース」に加えて, これと相互に補完関係にたつ「世界経済総合データベース」の開発をも企画している. ここで実施しようとしている学術調査は, かかる状況を踏まえて, 欧米諸国における社会科学系データベースの構築状況及びその公開状況の実態調査を行うとともにそこでの主要な研究機関における研究者との共同研究を行い, 日本が国内で整備しつつあるデータベースを, 国内だけでなく広く国外へも提供しようとする場合のデータの整備に関わる問題点及び情報通信における技術的な問題点を, 特に社会科学の分野に関して明確にし, 今後のデータベースの開発に資することを目的とする. 本研究は, 欧米諸国における社会科学系データベース・センターを歴訪し, 各センターのデータベース作成・管理・運営状況を調査し, 日本で社会科学系データベースを設置するに当たっての参考資料を整備することを主目的としていた. 調査の結果として明らかになった重要な点は以下の通りである. (1)欧米諸国においては, 既に, 水準・内容を異にするとはいえ, いくつかの大学・研究機関において社会科学系データベース・センターが設置されている. これらのあるものは, 国内的なサービスはもとより国際的なサービスすら実施している. (2)これらのセンターにおいては, データベースに附属させるアプリケーションをそれぞれに開発してはいるが, 未だ不十分なものであり, 日本において設置するセンターにおいて優れたアプリケーションを開発し, それの国際的なサービスを可能にすれば, 充分に意義のあるものとなりうる確信をえた. (3)国内でのサービスについては文部省の学術情報ネットワーク等の使用が可能であるが, 国際的なサービスに関しては欧州のEARN,米国のSPIRES,等が参考になることが分かった. これらの調査結果の詳細については, 別途に「報告書」を作成し, 公表する予定である.
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