1987 Fiscal Year Final Research Report Summary
インド・西太平洋のスナガニ科カニ類の社会進化に関する生態学的研究
Project/Area Number |
62042019
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Research Category |
Grant-in-Aid for Overseas Scientific Research
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | Field Research |
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
村井 実 九州大学, 理学部, 助教授 (80117267)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
五嶋 聖治 北海道大学, 水産学部, 助手 (50153747)
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Project Period (FY) |
1987
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Research Abstract |
Vca(シオマネキ属)のインド西太平洋の亜属の配偶・攻撃行動を調べて, Vca属の社会進化を解明することが1つの目的である. 本研究では祖先種に最も近いと考えられているDettuca亜属・その祖先種が, 社会的種分化の最も顕著るアメリカの亜属に進化したとされるThalassuca亜属を研交対象とし, アメリカ亜属のグループ(Celuca)でのこれまでの我々のグループで行ってきた研究や北中米で行なわれた研交結果と比較することによって, アメリカの亜属の行動システムが進化した理由を明らかにする. また同じスナガニ科に属すIlyoplax属も研究対象に含めアメリカの亜属との類似点の多い本属のシステムがどの様な進化的プロセスを経て生じたのかを明らかにして, スナガン科の系統進化を社会行動の方向から究明することが第2の目的である. 本年は予備調査であった. 今回は予備調査であったので, 調査対象種と調査場所の選定を第1に行った. その結果, プケット島(タイ)のLaem Phan Wa のVca(Thalassuca)tetragonon,Sementa(マレーシア)のVca (Deltuca)rosea,Ilyoplax delsmani,crientalisが調査条件を満たしていることが判った. Vcaの2種については社会行動を予備的に調査した. V.tetragononについては, アメリカの亜属がもつ交尾・求愛様式が本種でも20%の割合で起り, この点から, 上記の様式はアメリカ大陸におけるVca属の適応放散のプロセスで獲得出来た行動ではなく, その前から持っていたことが判った. また上記の様式が成立する条件がこれまでいくつか考えてきたが, 雄側の条件が満たされていないが, 雌側の条件はある程度,Vcaの祖先種に最も近いグループでも満されていることが, V.roseaの社会行動を調べた結果明らかになった. だから, 雄側の条件が満されるような方向への進化とともに, アメリカの亜属に見られる様式への切変われが起っただろうと推測出来た. Ilyoplaxについては, 主に分布調査に終ったが, Vcaとは系統的に異なるこのグループで, アメリカの亜属に見られる交尾様式を持つことを観察出来た. このグループで本様式がどこから進化したのか, 今後の調査で究明出来ればスナガニ科の社会進化を解明出来ると思われるので, 本属の研究も合わせ行いたい. 本調査では今回の調査方針に基づいてデータを取るとともに, その周辺のデータも取る計画である. その1つは, スナガニ科のグループの系統に関するもので, 生化学的な方法で系統の問題にアプローチする予定である. 共同研究を予定しているマラヤ大学のYONG教授の下では, この方面の設備が完備されているので, 遺伝生態学的な研究を分担してもらう予定である.
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Animal Behaviour. 35(5). 1334-1342 (1987)
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[Publications] Animal Behaviour. 35(5). 1334-1342 (1987)Animal Behaviour.
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[Publications] Bulletin of Marine Science. 41(2). 639 (1987)
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[Publications] Marine Biology. 66(2). 191-197 (1982)
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[Publications] Marine Biology. 76(2). 159-164 (1983)