1987 Fiscal Year Annual Research Report
A15型化合物超電導体のピン特性の改善に関する研究
Project/Area Number |
62050026
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
長村 光造 京都大学, 工学部, 教授 (50026209)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
落合 庄治郎 京都大学, 工学部, 助教授 (30111925)
松下 照男 九州大学, 工学部, 助教授 (90038084)
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Keywords | 超電導材料 / ピンカ / ニオブースズ化合物 / バナジウムーガリウム化合物 / 上部臨界磁場 / 歪効果 / 焼鈍 / 組織 |
Research Abstract |
ブロンズに第3元素(Ti,Zr,V,Ga,In)を添加し,No_8Snテープを製作した. これらの試料を用いて,Nb_3Sn層の厚さ,容積率,結晶粒径等の微細組織を走査型電子顕微鏡,光学顕微鏡で測定した. これらの微細組織と4.2Kでの2〜15Tの磁界におけるピンカとの関係を調べた. その結果,特にTiは結晶成表を促進し,かつ要素ピンカを上昇させることがわかった. またNb_3Snの要素ピンカは第3元素の種類と量を制御することにより最適化できることを明らかにした. またブロンズにMg,In,Al等の第3元素を添加し,V_3Gaテープを製作し,同様の実験を行なった. その結果,特にMg添加材は成長速度を促進するとともに高磁場での特性を改善することが明らかとなった. Nb_3Sn線材を用いて,低温で微細結晶粒を形成させ,高温で上部臨界磁場をあげる2段熱処理を行ない,ピン特性の改善を試みた. その結果第1段熱処理が700℃以下の低温であれば,800℃での短時間の第2段熱処理によってピン特性を大幅に改善できることが明らかとなった. またピンカと結晶粒径および上部臨界磁場との関係を定量的に記述することに成功した. Nb_3Sn線材では焼鈍温度からの冷却過程でNb_3Snに圧縮の残留応力が生じピン特性を低下させることがわかっている. そこでこの残留応力を解放するため室温で応力を負荷し,その後除荷する方法を試みた. 実験では種々のNb_3Sn応の試料を用いたが,特にNb_3Sn量の少ないときは,本方法により,高磁場でのピン特性を大幅に改善できることがわかった. また弾塑性力学により,Nb_3Snの歪量を計算する方法を提案し,実験結果との比較を行なったところ,かなりの精度で計算値は実測値と一致した. この計算方法によれば焼鈍温度・時間・室温での負荷応力の関数として上部臨界磁場を記述することができ,実用的にも有用である.
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[Publications] S.Ochiai,K.Osamura,M.Ryoji: Acta Metallurgica. 35. 1433-1445 (1987)
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[Publications] K.Osamura,S.Ochiai: Proceedings of JapanーUS workshop on highーfield superconducting materials for fusion.
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[Publications] S.Ochiai,K.Osamura: Acta Metallurgica.