1987 Fiscal Year Annual Research Report
低エネルギー(100eV以下)イオンと炉壁材料との相互作用の物理・化学過程の解明
Project/Area Number |
62055014
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
森田 健治 名古屋大学, 工学部, 教授 (10023144)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金子 敏明 岡山理科大学, 理学部, 講師 (40158853)
相良 明男 名古屋大学, プラズマ研究所, 助手 (20187058)
堀野 裕治 名古屋大学, 工学部, 助手 (10190258)
松波 紀明 名古屋大学, 工学部, 講師 (70109304)
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Keywords | 低エネルギー金属イオンの反射率 / 反射率に対する化学結合効果 / 水素の拡散係数 / 水素の脱捕獲係数 / 水素のリサイクリング / 反跳粒子検出法 / グラファイト / 水素濃度分布の動的測定 |
Research Abstract |
本年度は, 前年度に設備した低エネルギーイオン源を用いて, Cu^+イオンのグラファイト表面および金表面における反射率のエネルギー依存を測定した. これと平行して, 実機条件下のグラファイト表面における水素リサインクリングの基礎データを得るため, 高温・照射下における水素濃度分布の動的測定を行った. 更にグラファイトにおける水素の拡散機構を明確にするため, 希ガス原子の拡散係数を測定した. Cu^+イオンのグラファイト表面における反射率は5eVから200eVの範囲で0.1以下であることが判明した. この実験結果は, グラファイト表面には金属不純物がきわめて堆積しやすいことを示している. 又Cu^+イオンの金表面における反射率はエネルギーの増加と共に増加し, 50eVにおいて最大値0.3を取り, その後のエネルギーの増加と共に減少することが判明した. この反射率が最大値をもつという化学結合効果は, 本研究において始めて実験的に観測された. 照射下における水素濃度分布の動的測定の結果, グラファイトにおける飽和水素濃度分布は投影飛程の近傍で最大値をもち, その値は室温から600℃の範囲において6×10^<22>/cm^3から5.5×10^<21>/cm^3まで変化することが判明した. ビーム照射停止後の水素濃度の減衰の時定数, ビーム照射停止後の平衡捕捉水素濃度, および飽和水素濃度分布の解析から求めたグラファイト中の水素の拡散係数の活性化エネルギーは0.2eV程度ときわめて低いことが判明した. この値は希ガス原子の拡散係数の活性化エネルギーとほぼ等しいことから, 水素がグラファイト層間を移動する時の活性化エネルギーであると結論される. 又ビーム停止後平衡状態にある試料の加熱により求めた水素の脱捕獲の活性化エネルギーは0.4eVであることが判明した.
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[Publications] 祐延悟: Journal of Nuclera Materials. 147. 67-71 (1987)
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[Publications] 森田健治: Journal of Material Engineering. 9. 303-310 (1987)
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[Publications] 近藤憲二: Nuclear Instruments and Methods B. (1988)
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[Publications] 橋本洋一: Nuclear Instruments and Methods B. (1988)
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[Publications] 伊藤憲昭: Proc.of ICFRMー3,Karlsrule. (1988)
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[Publications] 森田健治: Proc.of 8ーth Int.Conf.PSI,Julich. (1988)