1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62065005
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
野依 良治 名古屋大学, 理学部, 教授 (50022554)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北村 雅人 名古屋大学, 理学部, 助手 (50169885)
丸岡 啓二 名古屋大学, 工学部, 講師 (20135304)
鈴木 正昭 名古屋大学, 理学部, 助教授 (90093046)
早川 芳宏 名古屋大学, 化学測定機器センター, 助教授 (50022702)
山本 尚 名古屋大学, 工学部, 教授 (10135311)
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Keywords | 不斉アルキル化 / 有機亜鉛化合物 / 有機アルミニウム / 不斉増幅 / 不斉触媒 / O価バラジウム / アリル系保護基 / 2-5A |
Research Abstract |
有機亜鉛を用いる触媒的不斉アルキル化反応を検討し、ほぼ完全な不斉誘導を達成すると同時に、前例を見ない不斉増幅現象を発見した(野依)。酸塩基複合反応剤である有機アルミニウム化合物を用い、「酸塩基複合システム」の概念に基づく新規な化学合成プロセスのいくつかを開発し、またアセタールをテンプレートする不斉合成においても顕著な成果を得た(山本)。アントラサイクリン合成に必要な光学活性アミノ〓を不斉ヘテロDiels-Alder反応によって効率よく合成するため、光学活性アルミニウム反応剤を新たに開発した。この不斉触媒は、不斉エン反応にも極めて有効であることを見出した(丸岡)。核酸合成用保護基としてPd(0)触媒反応によって速やかに除去できるアリル系保護基を開発し、それを用いて(1)強力な抗ウイルス活性を示す2'-5'結合オリゴアデニル酸(2-5A)およびその分岐型アナローグである2′-5′,3′-5′結合オリゴアデニル酸類の液相大量一般合成法、ならびに超高純度長鎖DNAオリゴマーの同相合成法を確立した(早川)。有機亜鉛化合物を用いるリチウムエノラートの完全なアルキル化制御法を開発し、この方法と有機亜鉛アート錯体のエノンヘの共役付加反応を組み合わせて、新しい「3成分PG合成法」を編み出した。本法は反応操作および単離精製操作に高い効率化を有している。BINAP-Ru(II)錯体触媒を用いた不斉水素化反応を行ない100%に近い完全不斉合成法を達成した。本法により不飽和カルボン酸、アリルアルコールおよび各種イソキノリンアルカロイドの不斉合成法が確立した。また重要な生理活性物質であるカルニチン,スタチン,コンパクチンの重要中間体が、本法の適用により効率よく合成された(鈴木、北村)。本年度の研究開始2年度目にあたるが、本研究課題の目標は順調に達成されており、進捗状況は極めて順調である。本年度は研究目標は完全に達成された。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] M.Kitamura;T.Ohkuma;S.Inoue;N.Saya;H.Kumobayashi;S.Akutagawa;T.Ohta;H.Takaya;R.Noyori: J.Am.Chem.Soc.110. 629-631 (1988)
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[Publications] M.Kitamura;T.Ohkuma;H.Takaya;R.Noyori: Tetrahedron Lett.29. 1555-1556 (1988)
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[Publications] K.Maruka;T.Itoh;M.Sakurai;K.Nonoshita;H.Yamamoto: J.Am.Chem.Soc.110. 3588-3597 (1988)
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[Publications] K.Maruoka;Y.Araki;H.Yamamoto: J.Am.Chem.Soc. 110. 2650-2652 (1988)
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[Publications] Y.Hayakawa;M.Hirose;R.Noyori: Nucleosides & Nucleotides. 8. (1989)
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[Publications] Y.Morita;M.Suzuki;R.Noyori: J.Org.Chem.54. (1989)
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[Publications] 岩村秀、野依良治、中井武、北川勲: "大学院有機化学(上,中,下)" 講談社サイエティフィク, 1-874 (1988)