1987 Fiscal Year Annual Research Report
シグナル伝達に関するGTP結合タンパク質の構造と機能
Project/Area Number |
62065008
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
上代 淑人 東京大学, 医科学研究所, 教授 (90012690)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊東 宏 東京大学, 医科学研究所, 助手 (10183005)
中村 俊 東京大学, 医科学研究所, 助手 (00134619)
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Keywords | シグナル伝達 / Gタンパク質 / rasタンパク質 / 細胞の分化と増殖 / ヒト染色体遺伝子 / 酵母の接合因子 / 遺伝子クローニング |
Research Abstract |
ホルモン, 神経伝達の物質のシグナル伝達の際に, トランスデューサーとして機能しているGタンパク質, および細胞の増殖, 分化の情報伝達に関与すると考えられるrasタンパク質は, いずれも膜局在性のGTP結合タンパク質である. 本研究は主にこの両者の構造と機能の解析を目的としている. 本年度に得られた主な知見をあげると, 1)ラットC6グリア腫cDNAライブラリーより, 新たなGiα分子種(Gi3α)をコードするcDNAを単離し, その構造を決定した. 2)ラット脳よりGilα cDNAを単離した. 3)ヒト染色体遺伝子ライブラリーよりGsα, Gi2α, Gi3α, Goα, およびGilαに対する染色体遺伝子を単離した. 前3者については全エキソン構造を明らかにした, 現在後2者の解析を行っている. これらの遺伝子解析よりGiが少なくとも3種のsubtypesよりなることが明らかとなった. 4)各Gα遺伝子の組織特異的発見をノザン分析より解析した. 5)精製タンパク質の部分アミノ酸配列の決定より, 哺乳動物の脳に存在する41KDa, 40KDaタンパク質が各々Gilα, Gi2αに相当することを示した. 5)酵母S.CerevisiaeにGPA1, GPA2という少なくとも2種のGタンパク質αサブユニット相同遺伝子が存在することを明らかにし, 前者は酵母接合因子のシグナル伝達に関与することを遺伝学的に示した. 6)大腸菌を用い, 野性型(Gly^2)および変異型(Vai^<12>)Ha-rasタンパク質を生産させ, 両者のタンパク質化学的性質およびグアニンヌクレオチドの接合および水解活性を比較検討した. 7)さらに, これらの組換え体rasタンパク質をPC12細胞に微量注入することにより, 神経細胞への分化誘導の効果を調べGTP・rasタンパク質複合体が分化を誘起することを明らかにした. 8)PDGFによるfibroblastの増殖刺激シグナル伝達系にrasが関与することを示し, イノシトールモノリン酸レベルの上昇を観察した.
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[Publications] M. Nakafuku: Proceedings of the National Academy of Sciences, USA. 84. 2140-2144 (1987)
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[Publications] I. Miyajima: Cell. 50. 1011-1019 (1987)
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[Publications] T. Satoh: Molecular and Cellular Biology. 7. 4553-4556 (1987)
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[Publications] T. Satoh: Biochimica et Biophysica Acta. 949. 97-109 (1988)
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[Publications] M. Nakafuku: Proceedings of the National Academy of Sciences. USA. 85. (1988)
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[Publications] T. Kozasa: Proceedings of the National Academy of Sciences, USA. 85. (1988)