1987 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62103007
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
久城 育夫 東京大学, 理学部, 教授 (80011526)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川嵜 智佑 高知大学, 教育学部, 助教授 (50136363)
高橋 栄一 岡山大学, 地球内部研究センター, 助手 (40144779)
谷口 宏充 大阪府科学教育センター, 研修部, 研究員 (70125251)
荒井 章司 筑波大学, 地球科学系, 助教授 (20107684)
鳥海 光弘 東京大学, 理学部, 助教授 (10013757)
|
Keywords | メルト / 粘性 / 密度 / マグマ溜り / マグマの混合 / 火道 / 安山岩質マグマ / 下部地殻 / 部分融解 / 三重点 |
Research Abstract |
本年度は, マグマの物性, マグマ溜り及び火道中におけるマグマのダイナミックス, 島弧のマグマの起源, 上部マントルにおけるマグマや流体などの物質の移動に重点を置いた. また, 原始太陽系星雲中でのメルト・ガス・固相の安定領域及びガスからのカンラン石, 輝石の凝縮に関する実験も開始された. 以下それらの結果の一部を述べる. 1.マグマの物性を理解するために, 単純系である透輝石-斜長石系のメルトの密度, 熱膨張, 粘性などを測定し, その組成依存性を検討した. その結果, ガラス転移温度や粘性には単純な加性則は成立せずCaMgSl_2O_640, NaAlSl_3O_860付近で最小を示すことが明らかになった. 2.火道中でのマグマの混合のメカニズムにつき理論的及び実験的研究を行ない, 下方から閉じつつある火道中では密度の異なる2種のマグマは一体となって循環し, 効率よく混合し得ることを示した. その条件は2種のマグマの粘性比が10^<-3>〜10^3の範囲であり, 玄武岩マグマと流紋岩マグマの場合には充分可能である. 3.マグマ溜りのダイナミックスを理解するために, マグマ溜りの"化石"である大崩山カコウ岩体を主要元素, 微量元素及びS同位体の変化によって詳細に解析した. その結果, このマグマ溜りでは単なる結晶の沈降のみでなく, 壁際の境界層対流によって下部の低密度流が上昇することが分化に重要な役割を果していることが示唆された. 4.カルク安山岩マグマの成因として, 角閃岩などの含水下部地殻物質の部分融解が可能であることを実験的に示した. すなわち, 角閃岩が1000〜1060°Cで部分融解すると, 水に富む(〜10%)安山岩質メルトが生じる. 下部地殻を融解させる熱源としては玄武岩マグマの貫入が考えられる. 5.MgO-S_1O_2+H_2系において, Mg2SIO_4, MgS_1O_8, S_1O_2の"三重点"は10^<-5>〜10^<-6>気圧に存在する. また水素が10^4倍存在する原始太陽系星雲ではメルトは10^<-2>気圧以下では, 安定に存在し得ないことが示された.
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] I.KUSHIRO: Special Publication NO.1,The Geochemical Society. 1. 165-181 (1987)
-
[Publications] M.Toriumi,M.Masui,K.Mori: Tectonophysics. 145. 157-161 (1988)
-
[Publications] H.Taniguchi,T.Murase: Journal of Volcanology and Geothermal Research. 34. 51-64 (1987)
-
[Publications] E.Takahashi: Journal of Volcanology and Geothermal Research. 29. 355-395 (1986)
-
[Publications] T.Koyaguchi: Bulletin of Volcanology. 48. 313-323 (1986)
-
[Publications] M.Takahashi: Journal of Volcanology and Geothermal Research. 29. 33-70 (1986)