1987 Fiscal Year Annual Research Report
超微弱発光計測による生体情報の検索-老化および発癌機構研究への応用の試み-
Project/Area Number |
62111002
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
依田 敏行 東北大学, 医学部附属病院, 講師 (10124637)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大工 芳昭 東北工業大学, 助教授 (70085413)
佐伯 昭雄 東北工業大学, 教授 (40085402)
宮沢 陽夫 東北大学, 農学部, 助教授 (20157639)
田口 喜雄 東北大学, 医学部, 助教授 (70004885)
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Keywords | 超微弱発光 / 活性酸素 / 老化 / 発癌 / 喫煙 |
Research Abstract |
本研究の目的とするところが生体試料およびその周辺物質から発せられる超微弱な発光を捉らえ, 発光源の活性酸素やその類似物質と老化や発癌との因果関係を究めるところにあるところから, 本年度はその手始めとして超微弱発光捕捉のための測定装置の感度と精度の向上に努力が集中された. その結果として可視領域での超微弱光計測装置の感度の一桁近い向上がみられ, より微弱な生体試料由来の発光の計測が可能になり, 呼気のような特殊な生体試料から発せられている超微弱な発光も捉らえられるようになってきた. 同時に発光源物質の同定に有用な近赤外部における微弱発光計測への試みも開始された. この波長領域での計測は従来困難が多く, 生体試料由来の発光のように微弱な発光は捉えること自体が不可能であったが, 新しい技術の導入により可能化できるものと考え工夫が重ねられている. 実際の生体試料由来の超微弱発光の計測としては, 生活環境との関連における生体試料の超微弱発光量の変動の代表例として喫煙者血液の超微弱発光の計測が行われた. これによると喫煙者血液の超微弱発光値は非喫煙者血液のそれのほゞ2倍に達する有意の高値を示し, 老化や発癌と喫煙との関連から特段の興味が持たれた. この喫煙者血液の超微弱発光の高値は禁煙により時間ないし日の単位で比較的速やかに消退し非喫煙者血液の超微弱発光のレベルまで減少することも確められた. 同様にして喫煙者の尿の超微弱発光が非喫煙者尿の超微弱発光値より高いことなども知られた. この喫煙者血液の超微弱発光の高値に関しては動物を用いての喫煙実験が行われ, 喫煙動物の血液や肺, 肝臓などの超微弱発光が有意の高値を有することが示された.
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