1987 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62213006
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
梶本 興亜 東京大学, 教養学部, 助教授 (30029483)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本間 健二 東京大学, 教養学部, 助手 (30150288)
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Keywords | ファンヂルワールス分子 / 分子内反応 / 配向 / 生成物の状態分布 / N_2O / 光分解 / NO / O(^1D) |
Research Abstract |
本年度は以下の3つのテーマについて研究を行った. (1)N_2O二量体から生成するNOの振動・回転状態分布. …本年度予算で二本目のレーザーを整備することが可能となったため, 昨年度に引き続いてN_2O二量体から出発する反応生成物NOの内部状態を研究し, これを正確に決定することができた. NOの振動状態分布は2つの分布の重ね合わせで表わされ, 1つは励起が大きく他の1つは小さい. これらは各々 (N_2O)_2-(193nm光)→N_2+O(^1D)・N_2O→N_2+2NO において, O(^1D)から生成するNOと, もともとN_2O中にあったNO部分に対応する. 一方回転状態分布は非常に励起が小さく, 温度にして70-100K程度となる. 二分子反応O(^1D)+N_2O→2NOの生成物の回転温度が10000Kに近いのとは対照的である. この原因は考察の結果, 運動学的な理由による可能性の高いことが推定された. すなわち, 2分子反応でNOを生成する場合のO原子の攻撃がN_2Oの外側から内側へと向かってくる方向で起るのに対し, 分子内反応では外側へ向うO原子がNOを生成するという相違が, 生成するNOの回転トルクに強く影響していると考えられる. このように, 衝突時の配向が反応生成物の状態に大きな影響を与える事が明らかとなった. (2)他の分子内反応系への拡張…NO_2二量体からの反応生成物によると思われる発光が330nm附近に観測され, 現在同定中である. 一方N_2O・HR系の光分解によるOHの生成を見るための基礎として二分子反応生成物の状態分析を行っている. (3)溶媒和した分子錯体からの電荷移動状態の生成…BA-アセトン系でアセトンの溶媒和数を変えてBA(バイアントラセン)からの電荷移動けい光を観測した. TOF法を用いてアセトンの溶媒和数を特定しつつ, その関数としてけい光強度を評価している.
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[Publications] HONMA,Kenji: J.Chem.Phys.89. (1988)
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[Publications] ARITA,Koji: J.Chem.Phys.