1987 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62213008
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
長谷川 正木 東京大学, 工学部, 教授 (50133103)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野原 正雄 東京大学, 工学部, 教務職員 (90090513)
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Keywords | ジオレフィン結晶 / 光固相反応 / 4-〔2-(4-ピリジル)エテニル〕ケイ皮酸エチル及びプロピルの混晶 / 三環性二量体 / 〔2.2〕パラシクロファン / β型結晶 / X-線結晶解析 |
Research Abstract |
ジオレフィン結晶に固相で光照射すると, 結晶内でのジオレフィン分子の配列を反映して, 直鎖状あるいはジグザグ状重合体を与える. この反応は, 光による逐次的〔2+2〕付加環化によって進行する. そこで, 結晶内での分子配列を制御(クリスタルエンジニアリング)し, 〔2+2〕付加環化を2分子のジオレフィン間で2度起こるようにすることができれば, シクロフィンが生成するものと考えられる. この考えに従い, 種々のジオレフィン結晶光固相反応を試みたが, 以前に報告した1, 4-ジシンナモイルベンゼン以外にシクロファンを与える化合物を見出すことができなかった. しかし, α型結晶であり光固相反応によってポリマーを与える4-〔2-(4-ピリジル)エテニル〕ケイ皮酸エチル(1__〜)と, 同じくα型結晶であり単環製二重体を優先的に与えるプロピルエステル(2__〜)との1:1混晶の光固相反応は, オリゴマー, ポリマーを全く与えず定量的に三環性二量体を与えることがわかった. さらに, 1__〜と2__〜の比が40:60〜95:5までの広い範囲にわたる混晶を用いても, 三環性二量体をほぼ定量的に得られた. この光挙動を明確にするため, 1:1混晶のX-線結晶構造解析を行った. その結果, ジオレフィン2分子が固相で反応できる距離内で対をなし, ほぼ完全に向い合っていた. (β型結晶). さらに, 隣接する対中のジオレフィン分子の面は直交していた. このような特異な分子配列が, 定量的三環性二量体生成の主要因となっているものと考えられる. 生成した三環性二量体は, 2つのシフロブタンが縮環した〔2.2〕パラシクロファンの構造をしており, 各種スペクトルにより高歪化合物であることが示唆され, その物性に興味が持たれる.
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Research Products
(1 results)
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[Publications] M.Hasegawa,Y.Maekawa,S.Kato,K,Saigo: Chemistry Letters. 907-910 (1987)