1987 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62213014
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
沢木 泰彦 名古屋大学, 工学部, 教授 (30023120)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高木 克彦 名古屋大学, 工学部, 助教授 (60023264)
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Keywords | 光増感電子移動 / 脱ブロム化 / ラジカル連鎖 / ジブロモ桂皮酸 / ミセル配向効果 / 環付加反応 / 逆ミセル / トポロジカル制御 |
Research Abstract |
1)ジブロモ桂皮酸塩の光増感脱ブロム化:テトラスルホナイトフェニルポルフィリン(ZnTPPS)光増感によるジブロモ桂皮酸の脱ブロム化の反応機構を解明し, その量子効率に及ぼすカチオンミセル効果を詳細に検討した. レーザーフラッシュ光分解法による反応中間体の動力学および化学反応の追跡によりi)励起三重項増感剤から基質への一電子移動が起きていること, およびii)臭素原子を連鎖種とするラジカル連鎖反応が起きていることを明らかにした. さらに, この反応をカチオンミセル系で行うと, 反応効率が10数倍も加速される. 基質と増感剤相方の親油性を制御することにより, ミセルへの相対的溶存位置を変動させることができる. 溶存位置の反応効率への効果を検討したところ, 最も脱ブロム化が起こりやすいのは, 両者がミセル界面に共存する場合であり, 逆に最も効率が低いのは両者がミセル内部に溶存したときであるという評価ができた. このミセル効果は, 主に基質の電子移動過程に影響した結果であることが明らかとなり, 生体膜系との比較で興味深い. 2)逆ミセルを用いたイオン性オレフィンの立体選択的二量化:桂皮酸塩は水溶液中で光照射すると, シスートランス異性化を起こすのみである. しかるに, この酸をラウリルアミン四級塩の作る逆ミセルに配向させると, 均一系とは全く異なる反応挙動をすることを見出した. すなわち, この系では, シスートランス異性化は制御されて環化二量化が主反応となる. さらに, 各種二量体のうちβ-トルキシン酸(頭-頭型)を選択的に与えることを明らかにした. この結果から, ミセルによる基質相互の配置の制御は反応選択性の良い方法論となり得ることがわかった. 水の添加などのミセル形成に影響する条件変化によっても反応選択性は大きく変化することを明らかにした. さらに, 基質濃度変化に伴なう基質配向制御効果の低下も見い出すことができた. 今後, この方法を改良して選択性向上を計る.
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Research Products
(1 results)
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[Publications] K.Takagi,N.Miyake,E.Nakamura,Y.Sawaki,N.Koga,H.Iwamura: Jpurnal of Organic Chemistry. 53. (1988)