1987 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62215021
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
黒沢 英夫 大阪大学, 工学部, 助手 (40029343)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
巽 和行 大阪大学, 理学部, 助手 (10155096)
三木 邦夫 大阪大学, 工学部, 助手 (10116105)
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Keywords | π-アリル金属錯体 / 遷移金属触媒反応 / 構造-反応性相関 |
Research Abstract |
π-アリル金属錯体は遷移金属触媒反応, 合成反応の鍵中間体の一つである. しかしながらアリルー金属間結合の本質やπ-アリル錯体の物性に関する基礎研究は, その応用面の華やかさに比較してかなり遅れているように思われる. より高効率, 高選択性を持つ合成反応の設計には, 上記の基礎知見の集積が不可欠であると信ずる. 本研究は, 最近特に重要度が増しつつあるπ-アリルパラジウムおよびニッケル錯体を経由する炭素-炭素結合生成反応の中間活性種に焦点を当てて, この活性種の還元脱離に関する構造-反応性相関を解明することを目的として行ったものである. まず手始めに, 中間活性種モデルとして, σ-有機基とホスフィンを配位子として同時に持つπ-アリルパラジウムおよびπ-アリルニッケル錯体を合成するとともに, これらの還元脱離反応におよぼす添加ホスフィン(単座性, 二座配位性)の促進効果を検討した. 次に配位子としてオレフィン分子を用いると, パラジウム錯体の還元脱離が異常に大きく促進されることが判明した. そこでこの反応を分子軌道計算で解明するための基礎として, 類似の白金のπ-アリル(オレフィン)錯体を単離するとともに, X線構造解析で固体状態の構造を決定することができた. 同時にこのオレフィン配位の特異性(幾何構造と溶液安定性)がはじめて明らかになった. これらの反応性と構造解析を基に, πアリルパラジウム錯体の還元脱離過程を, 拡張ヒュッケル法分子軌道計算でシミュレートすることができた. この計算は, πアリル錯体の反応を取り扱ったものとしては稀有の例の一つであり, πアリル基と金属との相互作用の特徴を理解するのに大きな貢献をなすものと考えられる.
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Hideo Kurosawa;H.Ohnishi;K.Miki;N.Kasai;K.Tatsumi;A.Nakamura: Chemistry Letter. 1623-1626 (1987)
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[Publications] Hideo Kurosawa;M.Emoto;H.Ohnishi;K.Miki;N.Kasai;K.Tatsumi;A.Nakamura: J.Am.Chem.Soc.109. 6333-6340 (1987)