1987 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62216007
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
赤池 敏宏 東京農工大学, 工学部, 助教授 (30101207)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青柿 良一 職業訓練大学校, 化学系, 助教授
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Keywords | 主体膜モデル / 脂質膜の流動性 / 細胞接着 / 脂質配向膜 / 単分子膜 / 免疫グロブリンG / フィブロネクチン / 表面圧 |
Research Abstract |
本研究では細胞工学用途を目指して, 脂質を主成分とする生体膜モデルを調製し, 細胞との相互作用を解析, さらには制御することを追求した. さらにたんぱく質成分を脂質配向膜に組み込んだ生体膜モデルの調製をめざして, 免疫たんぱく質である1gGと細胞接着性たんぱく質であるフィブロネクチンと各種脂質分子ならびにそのアナログとの相互作用を単分子膜法により解析した. 37゜Cにて液晶状態であるDMPC配向膜に対してL-細胞は低接着率となったが, 37゜Cにて結晶状態であるDPPC配向膜に対してL-細胞は高接着率を示した. このL-細胞の特異的な接着機構にはエネルギー代謝が必要であり, 細胞骨格と細胞膜タンパク質を主要な担い手とする能動的なものであり, Ca^<2+>が必須であることがわかった. 次に, 他の動物細胞についてもこのような脂質膜の流動性を識別する現象がみられるか否かを検討した結果, HeLa細胞は, L-細胞と同一の挙動を示す一方, リンパ球, 肝細胞とには流動性認識作用はないことが判明した. 次に, 細胞との特異的相互作用が期待されるたんぱく質の脂質単分子膜への吸着を解析する目的で, 円形多区画型LB膜作製装置を利用して, 各種脂質単分子膜と1gGおよびフィブロネクチン分子との相互作用を単分子膜の表面圧変化で評価した. その結果いずれの膜系でも, 低表面圧(低密度)の単分子膜系では特に大きい表面圧上昇が観察された. これは, 各たんぱく質分子が単分子膜に吸着・侵入することを示唆している. また, 単分子膜を構成する分子の構造により表面圧上昇傾向に興味深い差が見られた.
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[Publications] 小林 一清,住友 宏,小林 明,赤池 敏宏: 日本化学会誌. 1987. 575-579 (1987)
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[Publications] 高橋 章友,椎野太二朗,赤池 敏宏: 日本化学会誌. 1987. 563-568 (1987)
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[Publications] 高橋 章友,赤池 敏宏: J.Biomater.Sci.
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[Publications] 赤池 敏宏: "最新バイオテクノロジー" 日刊工業新聞社, 317 (1987)
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[Publications] 赤池 敏宏(共著): "器官形成-発生生物学から臓器工学まで" 培風館, 290 (1988)